ドイツオーガニック業界の歩みと今後の動向

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ヨーロッパ最大のオーガニック市場を誇るドイツ。このドイツで毎年2月に開催される国際見本市BioFachは、オーガニック・ナチュラル製品を紹介する世界最大の見本市です。専門見本市のため一般の方は入場できませんが、会場に所狭しと並んでいる魅力的な商品をながめていると楽しくなり、滞在時間がついつい長引いてしまいます。Biofachは2014年2月に開催25周年という節目の年を迎えました。そこで、ドイツオーガニック業界のこれまでの歩みを振り返るとともに、今後の動向について少し考えてみたいと思います。

 

1)ドイツオーガニック業界の歩み

オーガニック製品やナチュラル製品が社会に受け入れられ、定着するかどうかは、自然や健康といった価値感が私たちの心の奥底にどれだけ浸透しているかによって決まるのかもしれません。ヨーロッパ最大のオーガニック先進国であるドイツにおいて、オーガニック・ナチュラル製品がどのようにドイツの消費者に受け入れられていったのかについて、少しご紹介したいと思います。

第一の波は、第一次世界大戦後にやってきました。燐酸系・窒素系の化学肥料の多用により、ドイツの土壌の状態は著しく損なわれ、作物の風味、種の発芽率、家畜の健康状態にも悪影響を及ぼすようになりました。人智学の創始者であるシュタイナー博士は、生産農家からの依頼を受け、自然の摂理や天体の動きに基づいた農業を営み、作物本来の持つ生命力を最大限に引き出そうとする新しい農法を提唱しました。このシュタイナー博士によるバイオダイナミック農法を、Demeter(デメター:ギリシャ神話の豊穣神であるデーメテールにちなんで名付けられました)という団体が忠実に実践して行きました。

また、工業化に伴う都市部への急激な人口流入に伴い、公衆衛生や生活環境への影響が懸念されるようになり、健康状態や生活環境の改善(Reform)に寄与しようする気運が住民の中に芽生えて行きました。このような時代の背景を受け、健康改善運動を推奨するレフォルムハウス(Reformhaus)の店舗がドイツ全土に徐々に広がって行きました。「できる限りナチュラルな生活を」をモットーに、栄養学等の専門知識に基づいた食生活の指導や健康管理のためのアドバイスを行い、無農薬の生鮮食品や機能性食品の販売を手がけるようになりました。

ドイツにおけるこれらの啓蒙活動は、健康な生活を願う社会層を中心に、ゆっくりと、そして確実に受け入れられて行ったのです。そして、これらパイオニア達が、現在もドイツ国内において高い知名度を有し、信頼性のおけるオーガニック・ナチュラル製品を提供していることは言うまでもありません。

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