有機農業の広がりと今後 (徳江 倫明)

 自然の恵みフェアBioFach Japanは、1昨年、アジアではじめて本格的な有機農産物・加工品の国際展示会としてスタートしました。今年は3年目を迎え、BioFach Japanの認知度の高まりとともに、より具体的な成果が求められるようになってきています。

 
 近年、食に関する様々な問題が生じ、一般の消費者にも食の安全を求める声が多くなり、これまでクローズドなマーケットであった有機農産物が、一般の量販店で扱われたり、オープンマーケットとして、広がっていく背景が整いつつあると捉えることができます。
 有機生産物に対する消費者のニーズは、お隣の韓国では、非常に高く、親環境農業育成法施行以降、国として、慣行農業を環境保全型農業に、環境保全型農業は有機農業へと、段階的に転換していくことを明確に打ち出しています。また、昨年までは残留農薬問題で信用を失った中国は、検査機関の充実や、農業指導の徹底を行っております。

 
 我が国は、有機農業の技術的なレベル、有機JAS法施行以後の認証機関と認定件数など、一日の長はあるものの、現在の有機、特栽などの制度上にいまだ課題を抱えており、有機認証の件数も、最近では伸び悩んでいます。今後、海外からの有機農産物の輸入が増え、有機栄えて、日本の農業滅びるということも、充分考えられます。有機農業は、健全な食を得るだけでなく、農業によって豊かな自然を育むという機能もあります。これまで有機に携わって来られた皆様の成果を互いに知り、今後の事業や可能性を展望するためにも、BioFachが大きな役割を果たすことを期待しております。

 
出典:BioFach Japan 2004 公式ガイドブック
執筆者:日本SEQ推進機構代表 徳江 倫明

PROFILE:
1951年熊本県水俣生まれ。早稲田大学卒業後、ダイエーに入社し、青果流通を担当。78年有機農産物流通団体「大地を守る会」に参画。88年日本リサイクル運動市民の会に参画し、有機農産物の宅配事業「らでぃっしゅぼーや」を立ち上げ、代表に就任。2001年NPO法人IFOAMジャパン設立、常任理事に就任し、現在副理事長。日本SEQ推進機構代表。中国南京農業大学客員教授。

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