有機の卵に見るオーガニック畜産物の行方(自然と農業編集部)

5. アメリカではすでに有機卵の市場シェアは1%

このように、国内で有機畜産物を生産販売するためには多くのハードルをクリアする必要がありますが、それでも海外に目を向けると、有機畜産に対するニーズの高まりを見ることができ、国内需要も今後徐々に高まってくると考えます。
たとえば、卵や鶏肉の情報誌、「World poultry vol.23. No.3 2007」によると、アメリカでの有機卵の売上は、1億6000万ドルで卵の市場シェアの約1%となっており、2000年から2005年までの間に売上高は8%から13%の推移で伸びているとしています。ちなみに鶏肉は卵と同様、売上高が1億6000万ドル。2010年までに6億ドルまで伸びると予測されています。
アメリカではホールフーズマーケットなどの大型自然食品店が成功しているなど流通側の受け入れ体制も日本と比べて大幅に進んでいるのが現状ですが、アメリカで流行したものが日本で流行するこれまでの流れを見ると今後日本でもオーガニックに対する消費者ニーズが高まることは容易に想定できます。ただ、上述したように有機畜産物に関しては、認定されるまでにさまざまな課題をクリアする必要があります。有機畜産を日本で展開するためには長期に渡る準備期間を見積もっておく必要があるでしょう。

 

出典:BioFach Japan 2008 公式ガイドブック
執筆者:株式会社 木香書房「自然と農業」編集部

PROFILE:
1924年に設立し、80年を超える歴史を持つ農業関係出版社。定期刊行物として、環境保全型農業を目指し人々を対象とした季刊「自然と農業」を発行。またその他の刊行物として養鶏関係の技術専門誌である月刊「鶏の研究」がある。定期的に、オーガニック関係の海外視察や、食に関するセミナーを開催している。幅広い視点から企画・取材し、農業の発展に寄与できるような活動を念頭におく。

URL: http://www.kikoushobou.net/

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