オーガニック・自然化粧品を取り巻く市場環境(手島大輔)

1.市場の現況 新たなブランド・製品の出現

日本市場では数年前から本格的な注目を集めているオーガニック・自然化粧品市場は、景気の低迷と関係なく好調に市場を拡大させている。化粧品市場自体が景気や天候にあまり左右されない堅い市場といわれてはいるものの、オーガニック・自然化粧品を扱う会社の売上げは向上し、雑誌などの各種媒体での取り扱いは依然日々多くなってきている現状である。

最近の動きとしては、まず日本市場への参入プレイヤーの引き続きの増加が挙げられる。大手のオーガニック・自然化粧品ブランドはすでに日本市場へのエントリーを済ましているが、最近増え続けているのは比較的小さなブランドの日本への導入である。海外市場で通信販売やオーガニックスーパーなどで展開している小さなブランドを日本の比較的小さな輸入会社がコンタクトし、急拡大する日本市場にてビジネスチャンスを得るべく展開を進めている。

一方、海外市場でも今までになかった新規ブランドの立ち上げも増えている。こちらで最近目にするのは、女優や他業種のデザイナーなどの著名人が自身のオーガニックライフを表現するという形で化粧品メーカーと組み、ブランドプロデュースを行う形式である。これらは、多くの時代のイノヴェーターが食べ物や消費に関してナチュラルライフやオーガニックライフを志向していることから、その著名人と化粧品メーカーが組むことによって、メーカーにとっては鮮度の高い著名人関与による大きな市場へのインパクトと、新しいカテゴリーへの進出を実現できる方法となっている。
また、バイイングパワーを持つ会社などが、その固定客と販売力を活かしてPBの自然化粧品を作り販売を展開するという事例も増えてきている。実績のあるOEM工場を使いながら自社の顧客にマッチする仕様・機能・価格の製品を開発し、クローズドマーケットの中で手堅く販売活動を行っている。

そして、大手化粧品メーカーなどで今までは取り組んでいなかったオーガニック・自然化粧品カテゴリーへの進出を進めているところは依然多い状況である。ここまで消費者が食生活や環境について意識が高い世相になってきた今、どの化粧品会社もこのカテゴリーへの進出は必須事項であろう。最近ではサロン向けのヘアケア製品大手などで今まではナチュラルな訴求のブランドを有していなかった会社が、オーガニック原料を一部配合したシャンプーなどの商材をそろえたブランドを世に出してきている。また、日本の化粧品メーカーが品質の高い本格的なオーガニック製品を発売するなど、日本の化粧品会社による製品も、いままでの自然風化粧品から一歩前に出た製品も登場してきている。

 

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