2010年住へも拡大するオーガニックEXPO!(オーガニックEXPO事務局)

「住」が抱える問題

そこで現在の「住」は実際、どういう状況になっているかを「住」関係の本で見てみると、住む人の健康や環境に悪影響を及ぼしている住宅が意外に多いことがわかった。例えば健康の観点で言うと、新居に越してすぐに、あるいは徐々に体調が悪くなり、「アレルギー疾患」や「シックハウス症候群」になり、さらには「化学物質過敏症」を発症するケースもあり、不幸にして生活が一変してしまったという人が数多くいることがわかった。「アレルギー疾患」は、かつての隙間だらけの住宅から、戦後の高度経済成長を経て、隙間風の入らない、気密性の高い住宅が求められるようになり、さらに高気密・高断熱住宅が出現した結果、室内の湿気は逃げ場を失い、調湿性のないビニールクロスの壁やガラスなどに結露し、そこに付着したチリや埃などから、快適な室温によってカビやダニが発生し、それが抗原となって、アトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎、喘息など、いわゆるアレルギー疾患が発症することが明らかになっている。また「シックハウス症候群」は、新築住宅の建材や接着剤に含まれていた有害化学物質が室内に発散し、それが呼吸によって体内に取り込まれ、蓄積されて、許容量を超えたときに、発症すると言われている(シックハウス症候群の患者数は全国で約100万人、予備軍を含めると1,000万人とも言われている)。「化学物質過敏症」は、シックハウス症候群が引き金となって発症するケースが6割近くに達している、という。

 
もうひとつの、「住」が環境に与える負荷の観点から言うと、「一生に一度の高価な買い物」と言われる住宅が、わずか40年ほどの短命で解体され、その結果、全国的には厖大な廃棄物が生じている。廃棄物の中には有害物質が含まれていたり、プラスチックなど自然に戻らない物質もあって、それらが環境を汚染し、負荷を与えていることが問題となっている。政府はそうした点にも配慮して200年住宅構想を打ち上げたが、200年でなくとも、欧米並みの80年から100年に住宅の寿命を伸ばせば、単純計算で、環境への負荷は、今の半分に減る。日本の住宅の大半を占める木造建築は、鉄骨やコンクリートに比べて弱いから寿命が短いと言われるが、奈良や京都の神社仏閣は、千年から数百年を超えて現存しているし、築100年や200年の古民家も結構存在していて、木造の耐久性は実証されている。それなのに、高度な技術を誇る日本で、新築住宅が50年もしないうちに寿命で解体されたり、住人が疾病に苦しむ生活を余儀なくされて人生が一変してしまうというのは、明らかに問題であり、これまでの工法や建材そのもの、そして「住」をも根本から見直す必要があると言える。

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