ドイツオーガニック業界の歩みと今後の動向

2)ドイツオーガニック市場の現状

ドイツのオーガニック業界を牽引してきた食品部門の業績を見てみましょう。ボンに本拠を置くZMP(市場および価格に関する調査機関)の報告によると、2007年度のオーガニック食品の売上げは約55億ユーロ、前年度比約20%増。2008年度の売上げは約58億ユーロ、前年度比約10%増と二桁の成長を達成しました。しかし、2007年度の食品関連の総売上げの内、オーガニック製品の占める割合は僅か3%にしか過ぎず、食品業界ではまだまだニッチな市場と言わざるをえません。
2007年以降、様々なリサーチ機関がオーガニック市場に関するデータ収集を行うようになりましたが、いくつかのリサーチ結果を紹介しながら、ドイツのオーガニック市場の現状をさらに詳しく見ていくことにします。

(表1)認定を持つエコロジカルな商品が品揃えも豊富に提供されればお店を変えますか?

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(表2)予想される変更後の買い物先
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*複数回答が可能であるため、合計値は100%となっていません

2007年にアーンスト・アンド・ヤング社が、ドイツ国内で消費者に行ったアンケート調査結果によると、オーガニック商品の品揃えが豊富な店舗があれば、買い物の場所を替えてもよいとする回答者が76.9%も占めています(表1参照)。実際にどの位の消費者が買い物先をスイッチオフするのかはわかりませんが、オーガニック商品が豊富に揃うオーガニック専門店に消費者の多くが興味を抱いている事がわかります。
さらに、オーガニック製品の購入先として消費者が第一に挙げたのが、オーガニックスーパーやショップ等の、オーガニック専門店です(表2参照)。消費者がオーガニックスーパーで買い物をする頻度が次第に増えてきているとするトレンドは、他のリサーチ結果からも明らかになっています。

一方、2007年からオーガニック製品の取り扱いを始めたスーパーのEdekaGroupやReweGroup、ドラッグストアーのdmも健闘しています。オーガニックという価値を求めながらも、価格にもいっそう敏感な消費者のために、プライベート・ブランドのオーガニック製品の開発に積極的に取り組みました。

これに対し、健康な生活をサポートする草分け的な存在のレフォルムハウス(Reformhaus)は、オーガニックショップやオーガニックスーパーの展開(地元を中心に展開する地域密着型スーパー)により、厳しい事業環境が続くようになりました。

実際にドイツのオーガニックショップやオーガニックスーパーを訪れてみると、消費者はのんびりとした雰囲気の中で買い物を楽しんでおり、業界の成長ぶりを肌で感じることがありません。では、どの位の世帯が実際にオーガニック製品を購入しているのでしょうか。ヨーロッパ最大のリサーチ会社GfKによると、現在ドイツの94%の世帯がオーガニック製品を購入するようになったと回答しています。しかし興味深いのは、その購買様式が一様ではなく、オーガニック製品の購買頻度から、下記の3つのグループに細分化できるとしている点です。

●時々オーガニック製品を購買する層
ドイツの大部分の世帯がこのグループに分類されます。食品の内、ごく限られた製品をオーガニックで代替しており、購入額も僅かとなっています。
● 頻繁にオーガニック製品を購買する層定期的にオーガニック製品を購入する消費者で、購入額も前者より多くなっています。
● 常連ドイツの世帯数の約10%。少なくとも1週間に1度はオーガニック製品を購入し、食品や飲料水の約20%をオーガニック製品で代替している層です。また、オーガニック製品の総売上の約60%を、このグループが買い支えていることが明らかとなっています。

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