中米小規模生産者の日本有機・認証市場における可能性 に関するレポート作成の覚書(今井 登志樹)

さて、中米である。そもそも中米の位置するところは南米と北米をつなぐ<その辺り>と推測できるが、何カ国あるかご存知だろうか?コスタリカ、ニカラグア、エルサルバドル、ホンジュラス、グァテマラ、パナマ、ベリーズが中米7カ国と呼ばれる。

 
まずは、各国駐日大使館を訪れ、またこの間南米の有機認証品を日本国内に紹介するプロジェクトを展開していたJETRO=日本貿易振興会も訪れ、情報交換を行った。
JETROは南米・中東に続き、中米の有機認証品を、日本国内に輸入推進するプロジェクトを立ち上げる予定があるということで、今回のIFOAMジャパンのレポートについての協力を約束してくれた。

 
また、折から開催されていたFOODEXでも中米ブースを訪れて、有機動向の聞き取りを行った。
結果、得られた情報は、グァテマラに有機農業の発展は見られるが、その他の国においては有機、特に認証についての認識は薄く、どこも有機の取り組みをこれから始めようとするのが実態であるようだ。

 
であるなら、中米から日本、及び世界各国に輸出されるバナナ、コーヒー、カカオなど、慣行栽培の産物の動向を調査し、その有機への移行の可能性は現地の課題として、IFOAMジャパンは日本市場での可能性を探れば良いことになる。

 
このレポート作成の中米現地のパートナーとなるRUTA=技術的支援のための中米地域担当局とも連絡を取り合い、産物を抽出し、日本の有機食品を製造する企業にも打診する作業を進めたが、その産物の多くが日本では生産できないものであり、直接的に日本国内の有機生産者の圧迫につながることがないことから、IFOAMジャパンのプロジェクトスタッフは精神的なストレスのないまま、調査、報告、提言と仕事を進めることが出来た。

 
中米の輸出データを駆使し、その可能性を提示しながら、勿論、有機JASを取得したからといって、容易に販売できる訳ではないとクギを刺し、中米の原産地イメージの構築と、中米の有機食品のメッセージを盛り込むことの大切さを様々な例をあげて提言した。

 
有機JASばかりでなく、レインフォレストアライアンスやバードフレンドリーと云った日本にあまり馴染みのない認証の取り組みや、フェアトレードやISOという切り口についても、これからの可能性も踏まえて紹介した。また、海外有機農産物を輸入する際、検疫でチェックされ殺虫のための薫蒸処理=青酸ガス・臭化メチルが行われるとその農産物は有機として流通出来ないが、そうした有機農産物の貿易の初歩から、海外での有機JAS取得についてや、直接中米諸国とは現在関係のない認証の同等性についてなども、詳しく解説した。ただ中米の小規模生産者の可能性を拡げる調査のはずであったが、FAO、WBの市場重視に偏した“指導”の結果、強い生産者により有利は情報になった可能性もあるのではないかと悔やまれる。

 
現地の小規模生産者がこのレポートをヒントに協同化やビジネスの良きパートナーをに恵まれることを願っている。

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