有機畜産成功の鍵は何か(自然と農業編集部)

2. 環境保全としての土地との結びつき

有機にかかわらず、畜産においては家畜排せつ物の処理は環境保全の面からみても重要なポイントである。環境3法も施行が予定される中、有機畜産と耕種農家との連携強化は不可欠である。畜産排せつ物から作られる有機堆肥を、いかに土地に還元することができるか。逆にもしそれができないということになれば、有機畜産の存続も問われかねない。

 

3. 検査員の養成

有機畜産の検査・認証制度がスタートしたとして最初に問題となるのが、検査員が質・量共に不足しているという点である。有機畜産に長い歴史を有する欧米ならともかく、残念ながらわが国には有機畜産の経験が乏しく、すべての畜産に精通した検査員が少ないことから、その養成・確保が急務である。

 

4. 生産・流通・小売・消費者の相互理解

現状、有機畜産物の生産コストは慣行の畜産物生産より2〜2.5倍程アップするといわれている。この価格上昇分を流通、小売、そして消費者が納得してもらえるかである。生産者側が有機畜産物を供給するかわりに、その商品を適正価格で取引してくれるような相互理解に基づく体制が構築できるかどうかは、今後のわが国の有機畜産が継続できるかどうかを占う上でも重要ポイントである。

 

以上、有機畜産成功のためのポイントについて述べてきたが、検査・認証にはそれなりの経費がかかるだけに、信頼ある有機畜産に精通したコンサルタント会社等へ事前相談するとか、登録認定機関についても十分吟味する必要があろう。

 

出典:BioFach Japan 2004 公式ガイドブック
執筆者:株式会社 木香書房「自然と農業」編集部

PROFILE:
1924年に設立し、80年を超える歴史を持つ農業関係出版社。定期刊行物として、環境保全型農業を目指し人々を対象とした季刊「自然と農業」を発行。またその他の刊行物として養鶏関係の技術専門誌である月刊「鶏の研究」がある。定期的に、オーガニック関係の海外視察や、食に関するセミナーを開催している。幅広い視点から企画・取材し、農業の発展に寄与できるような活動を念頭におく。

URL: http://www.kikoushobou.net/

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