検査員からみえるオーガニック市場このごろ(作吉 むつ美)

こうした中での明るい話題は、一昨年末に施行された「有機農業推進法」である。有機農業者の支援対策を、行政がバックアップすることを主目的に制定されたものだ。まだ現実の施策はみえてこないが、地方によっては、行政が積極的に有機農業を支援する体制をとっている。例えば、現時点で6つの市町村や県が有機JAS認証を行う機関として登録がある。半行政的機関も含めるとあわせて10機関ほどになる(国内登録認定機関数は58機関)。認証費用が比較的安いこうした機関の存在は、民間の高い認証費用に二の足を踏んでいた個人農家にとってかなり魅力的だ。また、行政のバックアップにより有機への試験的取り組みを行う農家も出てきている。これにより、個人ではなかなかできない有機農業技術の開発や実験に取り組めるところもある。費用が安いことや行政の補助による弊害もあるが、ここは素直に新たに有機に関わるところが増えたことを喜びたい。

 

一方で、ここ数年の勢いに注目すべきは、コットンをはじめとする繊維製品やボディケア製品のオーガニック版である。欧米でも似たような傾向にあるようだが、Bio Fachでも、出展数が毎年のびている分野だ。いま、日本ではこれらの製品にオーガニックの表示規制は存在しない。ゆえに、表示や宣伝はさまざまな方法で行われている。

 

海外で生産されたものは、当地で最終製品まで第三者によるオーガニック認証をえているものが多いようだ。それらは、オーガニック製品として、そのまま日本国内で販売されている。また、一部では、オーガニック認証原料を輸入し、日本で加工しているものがある。それら業者のパンフレットやホームページをみると“原料のオーガニック認証”を強調している例が多い。オーガニックの良さを伝えてはいるが、加工段階でどの程度有機性を保つための工夫をしているのかはわからない。しかし、ここ2~3年、徐々にではあるが日本国内での加工を行ったものにも第三者によるオーガニック認証が行われるようになってきている。

《関連キーワード》

人気のWebコンテンツはこちらです

お問い合わせ