オーガニックコットンの国際認証と概要(山口 真奈美)

4.GRS(Global Recycle Standard) 認証

その他、Control Union で取り扱っている認証プログラムにGRS(Global Recycle Standard)認証というものがある。GRS認証は、リサイクルされた原料を使用して製品を製造する際に有効な追跡のための認証プログラムであり、繊維産業や他の産業において使用される再生部品、再生材料の量を検証するという需要を満たすために開発された。小売業者、または消費者にとって、製品のどの部分に再生材料が使用されているのか、その材料がサプライ・チェーンを通してどのように管理されているのかが把握できる。

 

5.認証の目指すものの違い

GOTSやOEをはじめ、これらの認証はそもそも目指す方向性の違いがあり、基準にも特徴が表れているといえる。GOTSでは加工流通過程において、染料や加工助剤は基準に従ったものを使用しなければならず環境に影響を及ぼしていないか、また児童労働や労働者の賃金・状況等の社会的条件も含まれ、これらの条件をすべて満たしていくことは決して簡単なことではないように思われるだろう。一方、OEではトレーサビリティーを中心に追跡する内容となっており、オーガニックの農場を世界で増やすという目標から加工流通過程における環境面・社会面での厳しい制約は設けていない。逆にリサイクルの基準はどちらも含まれていないことから、GRSは市場からの強い要望がありControl Unionで策定したものである。

 

6.審査と認証取得までの手順

認証取得までのプロセスは、まず取得希望の方から頂いた申請書の情報から、審査にかかる日数・費用等を認証機関が概算し、合意された場合契約が交わされる。契約後、審査準備に取り掛かっていただく。準備には、通常行われている管理や製造されているプロセスを第3者(審査員等)に開示できるよう、マニュアルや必要書類を整え、取得を希望する認証基準に合うような管理体制の整備が必要となる。

認証プログラムによっては染料や加工助剤の使用制限など特有の管理が必要なこともあるが、オーガニックコットンと通常のコットンが混合されないようにすみ分けて保管・管理するなど、通常の業務で当然管理されているべき内容も含まれている。認証を取得するからといって、すべての業務プロセスを変えなければいけないわけではない。

審査準備が整えば、審査員による審査が実施される。審査の基本として、書類だけではなく審査員が現地を訪問し、管理体制や伝票その他使用書類などの文書審査・生産現場等の訪問・責任者や従業員へのインタビュー・サンプリング・情報の照合確認などが、基準をもとに認証機関で作成されたチェックリスト等を使用しながら行われる。

審査結果が良好であれば、判定の後、認証書が発行される。さらに毎年審査を実施することにより一年間の管理体制やトレーサビリティーなど基準をもとにチェックすることで認証が維持される。

 

7.認証書には二つの種類がある

また、認証書にはScope Certificate (範囲認証書) とTransaction Certificate(以下TC)という二つの種類がある。Scope Certificate はいわば認証された範囲を示すものであり、GOTSやOE等どの認証を取得しているのか、取得企業(団体)名・その範囲や拠点・有効期限などが記載される。通常、認証書というとこちらを指す場合が多く、認証を取得したと取引先に伝えたい場合は、こちらの認証書が必要となる。

そして、Scope Certificate が発行された後、はじめてTCが認証機関により発行可能となる。TCは商取引の証明であり、認証取得者がオーガニック製品を出荷する際に発行され、いつ・どこへ・何を・どれだけ(量)出荷されたかが記載される。もしA社がオーガニック製品をB社に販売した場合、認証機関に依頼しA社からB社向けのTCが発行され、出荷した製品が認証製品であることをTCによって販売先であるB社へ明確に示すことが可能となる。逆にいえば、B社は入荷した製品が認証製品であるかどうかの確認をTCによってその都度行うことが出来る。

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