オーガニック・自然化粧品を取り巻く市場環境(手島大輔)

4.世界のオーガニック認証についての動向統合と新規設立

最近の欧米各国のオーガニック認証団体では、統合と設立の2つの動きがある。統合とは、各国を代表するフランスのECOCERT(エコサート)、イタリアのICEA(イチェア)、ドイツのBDIH、イギリスのソイルアソシエーションなどが、COSMOS(コスモス)という国際統一基準に統合しようという動きである。様々な認証団体ビジネスも乱立する中で、消費者としてはマイナーな団体の信用性は分からないことがあり、ある団体の「オーガニック認証付」ということでは品質基準について安心できないということがあった。各国で生産された製品が欧州内を流通するに当たり、しっかりとした大手機関による統一基準で品質が担保されるということは消費者の観点からしてみれば非常に良いことと考えられる。一部のブランドでプロモーション要素的に、オーガニック認証機関の認証原料を一部使ってオーガニック製品と訴求しているものも存在するが、消費者の観点から言えば紛らわしく誤解を生むことになる。それならば、堂々と製品としてオーガニック認証を取得することが消費者にとってはわかりやすい判断基準となるだろう。化粧品メーカーにとっては製品への認証取得には外注コストがかかり自社利益を圧迫することになるが、オーガニック化粧品とウリにする以上は消費者への品質の担保のための企業努力として、認証取得と信頼の提供に真摯に取り組んでいくことが望まれる。

一方で、新たな認証団体の設立について。欧州ではこのオーガニック認証活動が一つのビジネスとなっており、メーカーにとって外注コストがかかることが背景にある。オーガニック認証団体は、第3者機関として申請製品や生産設備の検査などを行い、製品に自団体のマークを付与し消費者への品質の高さを担保する。その代わりに、認証料などを化粧品メーカーから貰うという商売を行っている。その中で、認定機関より歴史のある化粧品メーカーなどは、認証には外注コストもかかり今までそれら認証を取得しない傾向にあった。しかし、世の中の流れ的に消費者に対して自社製品の品質を第三者に担保してもらうというプロモーションが有効ということになり、数社のメーカーが組んでメーカー寄りの認証団体を作るという動きがある。ドイツの老舗メーカー数社が発起して作ったNATURUE (ナトゥルー)などである。この認証では、メーカーが生産時に使うオーガニック認証付の精油や油脂、芳香蒸留水などの原料を使う量によって製品に1から3の星がつくというもの。マッサージオイルなど認証がつけられる油分の多いものは星が3つ、認証がつけられない水や界面活性剤などの多いシャンプーなどは星が1つ、精油原料会社や精油をもちいた製品作りが得意なメーカーの製品には星が多くなっている。

日本でもいくつかのオーガニック認証機関が設立され、サービスを提供しはじめている。今後オーガニック認証機関に求められるのは、企業プロモーションの外注としての認証やメーカーが使った原料のありがたみ訴求のための認証に加え、消費者の視点に立った基準の設定と独立性・公平性を持ったパブリックな団体の運営管理が必要になると考えられる。

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