オーガニックコスメ今後のトレンドと国産ブランドのつくり方(手島大輔)

新しいトレンド

そういった市場環境の中で最近注目されるのは、今までのオーガニックコスメにはない世界中の新しい植物原料の探索と本格的な国産オーガニックコスメの出現です。前者については当社でも取り組んでいますが、世界中の新原料の開発です。使用量が増え低コスト優位の商材となった植物原料が大手企業の量産ラインに組み込まれる一方で、新たなトレンドはすでに次の展開にシフトしています。後者の本格的な国産オーガニックコスメは、数年前から欧米からもたらされたオーガニックコスメに対して生まれだした、応用と正確なものづくりが得意な日本メーカーの応えといえます。

 

国産でオーガニックコスメが少ない理由

そもそもオーガニックコスメとは、欧州などの農業大国がオーガニック植物の大量・低コスト生産を背景に作り出すものです。国産でオーガニックコスメが育ちにくい背景は、日本の農産物のオーガニック認証は有機JASといって食べ物しか認証制度はなく、化粧品に多種に使えるような有機認定植物が海外に比べそもそも少ない点と、生産量の少なさからの高コストが背景にあります。また日本の原料メーカーのほとんどは国産植物エキスを抽出する際にBG(ブチレングリコール)という石油化合物を用いて抽出しますが、それらは欧米のオーガニック認証企業では認められない石油由来成分のため、日本国内にはその基準と同等スペックの化粧品をつくるベースがそもそも存在しない現状があります。
よって、現在の国産オーガニックコスメは、オーガニック認証原料はプロモーションのためのほんの少量か、キー成分として謳う国産植物は一部とし大半は海外製原料を国内配合した「国産」が多い現状でした。また国内製品で欧米企業によるオーガニック認証を取得すると、結局種類やコストの関係から欧米の有機原料を使うことになるのと、価格も大量生産された海外輸入製品に勝てないというビジネスの仕組みとなってしまいます。
以上の状況の中で、自然・オーガニック系に世界中の化粧品トレンドの潮流が移る中、農業国である欧米のオーガニック系企業のフォーマット上では、互角に日本メーカーは戦えず、海外製品による国内市場のさらなる侵食と日本の化粧品の国際競争力の低下が危惧されていました。

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