2014年7月12日

売れ残りや期限切れなどで食べられるのに捨てられてしまう「食品ロス」が、国際的な問題になっている。世界の生産量の三分の一に当たる約十三億トンの食料 が、毎年廃棄され、日本では毎年約五百万~八百万トンが無駄になっている。あまりにも、もったいない「食品ロス」の削減に向けた取り組みが始まっている。 (荒井六貴、篠ケ瀬祐司-東京新聞)

以下、東京新聞 2014年7月12日朝刊「こちら特捜部」の記事をまとめた。

うどん県香川・さぬきうどんの取り組み

うどん県香川の製麺業者と環境保護団体が「うどんまるごとコンソシアム」を組織し、「うどんからうどんをつくる」をキーワードに「うどんサイクル(循環)」に挑戦している。

讃岐うどんの店では客に早くうどんを提供するため、注文前にうどんをゆでる。ゆでてから30分立ってしまうとコシがなくなるため、客に供せなかったうどんは廃棄処分されていた。県内の推計排気量は年間3千トン。このうどんサイクル運動の中心「さぬき麺業」だけでも年間約150トン。その焼却処分に約450万円かかっていた。そんな「うどんロス」を削減しようと始めたのがうどんサイクルだ。

うどんサイクルのフローは次の通り:

Udon

13年12月までにうどん発電までのサイクルに成功。四国電力に売電するまでになった(160万円の収入)。また、今年5月末には「うどん肥料」を使って地元で育てた小麦が収穫され、「うどんからうどんをつくる」サイクルが完成。今後、県内にある約800軒のうどん店に呼びかけて規模を拡大するという。

食品ロス年間800万トンの日本の現状に問題提起

日本の年間食品ロス800万トンのうち半分が食品メーカーやスーパーなどの事業系。残り半分が一般家庭からとみられ、家庭1人あたり年間15キロ。60回分の食事に相当する。世界でも食品廃棄量は生産量の1/3にあたる13億トン。一方で世界の8人に一人は栄養不足という。

この状況に対し、欧州議会は2012年1月、食品廃棄物を25年までに半減させるよう各国に求める決議を採択。日本でも食品ロスを削減する動きが出てきた。賞味期限を延長したり、これまで「年月日」表示だったものを「年月」変更するメーカーも出てきた。

業界には「三分の一ルール」という商習慣がある。これは、賞味期限が6ヶ月の場合、製造から2ヶ月を超えてしまうとスーパーなどの小売は納品を拒否できるとし、拒否された商品は廃棄されていた。農林水産省などはこれを「二分の一」に変更する試みをしている。菓子と飲料を全国でルール変更するだけでも年間4万トンぐらい減らせるという。

長野県松本市は「30・10(さんまるいちまる)運動」を始めた。宴会の乾杯後30分間とお開き前10分間は料理を食べようというもので、市の宿泊施設ではこの運動に加え1口で食べられる料理や締めのご飯を鯛茶漬けにするなどして食べ残しが半減したという。また、横浜市では13年度から市全域で「食べきり協力店」を募り、小盛りメニューの導入を呼びかけている。

NPO法人「セカンドハーベストジャパン」(東京都台東区)は、食べられるのに廃棄される食品をメーカーや農家から引き取り、経済状態が苦しい人に届けている。年間の取扱い量は2002年の30トンから2012年には3000トンに増え、これまでに37万人に届けた。

日本で食品ロスが生まれる背景は、各店舗で棚空きを嫌い供給が過剰になるためと消費者が鮮度や期限に敏感すぎることも一因だとみる(中京大学・小林富雄准教授)。こうした食文化を変えるには長期的な視野で考える必要がある。まずは「三分の一ルール」や外食産業が食材の見栄の悪い部分を過剰に廃棄する実態などを明らかにしていくことが大切である。

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