2014年07月28日

これまで、食品添加物や残留農薬の安全性は単独での評価に終始し、体内に取り込まれた食品添加物や残留農薬が相互に及ぼす影響については、ほとんど触れられてこなかった。

そんな中、今年2月の環境省主催「化学物質の複合影響評価に関する公開シンポジウム」で、相乗毒性に関する科学的事実が発表された。シンポジウムでは、スウェーデン・イエーテボリ大のバックハウス博士が、藻類の増殖阻害率を殺虫剤でみた時、単体の殺虫剤(25種類)が0%〜17%なのに対し、25種類の殺虫剤の混合物では46%にもなることを明らかにした。

また九州大の大嶋教授は、メダカを使ったポリ塩化ビフェニルと有機スズの複合曝露実験で、オスの性行動抑制、胚の奇形率増加という結果を公表。ミジンコでの3種類農薬の複合毒性実験では、低濃度では毒性がないが、複合で毒性が増加するという。

環境省は、13年度に複合影響評価ガイダンス(仮称)の検討を始めるなど、この問題への取り組みを強調した。

相乗毒性問題は、1990年代から科学者に問題視され、日本でも複数の農薬同士や農薬と薬物との相互作用、相乗毒性の可能性があることが明らかにされた。

07年、英国食品基準庁(FSA)の資金で行われた研究で「合成着色料や保存料が子どもの多動行動を増加させる」との報告が英医学誌に掲載。この研究は食品添加物に関連した多動行動に注意するよう保護者への勧告が出された。この報道は世界的な反響を呼び、英国などでは問題の着色料の使用を禁止した。

日本の食品安全委員会は相乗毒性について検討する構えもないが、正面から取り組まなければ、その存在意義が大きく揺らぎかねない。

 

 

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