今月28-30日に東京・有楽町の東京国際フォーラムで開催される『オーガニックライフスタイルEXPO』を協賛している日本有機農業普及協会(JOFA)から農業技術者育成に関し寄稿されましたのでご紹介いたします。
なお、JOFA代表理事の小祝政明さんが、29日(土)14:30から、同展示会で開催されるセミナー《有機農業の原点を語る~JAとオーガニック~有機農業という名前の由来》に登壇されます。セミナーへのリンクは最終行にあります。
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これからの社会が求める農業のカタチはどのようなものでしょうか。
農業は食べ物を生産する産業。ゆえに農業は、いつの時代も、人の生き方や社会を映す鏡となってきました。増え続ける人口を飢えさせないために、効率よく大量生産をすることが使命であった時代もありましたが、いつしか社会は成熟し、徐々に量より質を求めるようになてきました。長生きできるようになって、健康であることの価値がますます高まっているといえるでしょう。
わたしたちの体は、わたしたちが食べたものでできています。身心の健康は、何を食べるかで決まります。身心の健康のために欠かせないビタミンやミネラル、そして食物繊維の供給源としての農産物。農産物をつくる農業は、人の健康を支えている仕事と考えるべきではないでしょうか。
原点に返って「人の健康を支えることができる農産物づくり」
日本有機農業普及協会(JOFA)は「農産物は土と水を糧に育ち、農産物は人の身心のつくっていくもの」その原点に立ち返り、これからの社会に求められる農業、そして農産物のひとつのカタチとして「人の健康を支えることができる農産物づくり」であると考えています。そして「人の健康を支えることができる農産物づくり」ができる農業技術者の育成が必要であると考えています。
写真は栄養価コンテストの授賞式
どのような農法がもっとも栄養価の高い農産物をつくれるのか
おいしくて栄養価の高い農産物を安定生産できる土づくり技術・栽培技術と、いったいどのようなものなのでしょうか。それを明らかにするために、JOFAは、全国の農家さんに呼びかけて、栄養価コンテストを開催。集められたデータを基に、栄養価の高い農産物づくりのための土づくり・栽培技術の「的」を徐々にしぼっていっています。栄養価コンテストには、有機栽培・自然農・慣行栽培・水耕栽培、あらゆる農法の方が参加できるようになっています。今のところ、良質の堆肥を使用する有機栽培が、あらゆる栽培技術の中で、高栄養価農産物をつくるためには最適という結果が得られています。
栄養価コンテストにて得らえたデータを参加された農家さんにフィードバックすると同時に、検証を加え、技術として確立したものについては、農業技術者育成プログラムに組み込み、それに基づいたカリキュラムや教材をつくり、技術講師を育成し、セミナーやアカデミーを通じて、技術の普及活動を行っています。
写真はアカデミーでの授業の様子
まるで部活のように取り組める農業をめざして
これはまだまだ夢の話ですが、これからも栄養価コンテストを続けていくことで、全国の農業生産法人同士が、または産地間で、農産物の栄養価というテーマで、栽培技術を競い合うようになっていってくれたら面白いと思っています。
ひとことで言うなら、栄養価コンテストはもっと「農業甲子園」のようになっていってもよいと思うのです。農業の現場はもっとドラマチックでもよいのではないでしょうか。ライバルに勝つために仲間同士で話し合い知恵をしぼる。先輩が後輩に教える。農業者だけでなく、すごい農産物をつくる農業者には、根強いファンがいて、そのパフォーマンスを応援する。そういう人と人との切磋琢磨によって技術は磨かれ、農産物の潜在能力はもっと引き出されると考えています。
まるで部活動をするようなノリで、若い方々が農業に興味をもって、もっと参入してきてくれて、農業全体が若返ればよいと考えています。このままの感じで行くと、日本は世界一、おいしくて、栄養価が高い農産物の国、そしてそれを生産できる確かな農業技術を有した国となっていく予感です。
現在、栄養価コンテスト2017年夏季の参加者募集中です。
参加要項は下記HPより
http://www.jofa.or.jp/news/entry-129.html
オーガニックライフスタイルEXPO公式サイトはこちら
*このサイトより入場登録をすれば無料にて入場できます。
セミナー《有機農業の原点を語る~JAとオーガニック~有機農業という名前の由来》についてはこちら