2014年8月23日

原発事故後、風評被害に悩まされてきた福島県の農家やレストランなどが手を組み、奮闘している。生産者が加工、販売まで手掛け、農村振興を目指す「6次産業化」の成功例として注目されている。

福島県いわき市のJRいわき駅ビルに今春オープンした「Vege Cafe(べジ力フェ)」。今は、旬のブロッコリースムージーが人気を集める。自然農法のファーム・白石(代表 白石長利さん)のブロッコリー、磐城農業高校の乳酸菌飲料、地元店の無調整豆乳、純粋氷をミキサーにかけ、滑らかに仕上げたもの。

カフェを運営するのは、㈱いわき福島復興オフィス 代表取締役の池端達朗さん 。市内でデザインや販促の仕事をしていたが、大震災・原発事故から間もない2011年4月、顧客だった農家や加工業者らを支援するため、任意団体としてオフィスを設立した。翌年秋に法人化。農家や加工業者など若手約十人で、多くが震災後に出会ったメンバー。

都会の復興イベントで、農産物に二重三重の安全証明を付け、さらに「安全」をアピールするやり方に虚しさを感じ、おいしさを伝えるために考えたのが、会場でのスムージー販売だった。スムージーの開発には、市内の人気フランス料理店「Ha gi」のシェフ萩春朋さんが協力。

この取り組みは、国が進める6次産業化事例に当たる。農産物を作るだけでなく加工、販売もすることで農山漁村の雇用や所得の向上、地域振興を目指すが、営業ノウハウや販売ルートまで持つ生産者は少ない。

農林中金総合研究所の室屋有至氏は、「成功しやすいのは単独の事業者より、農商工連携など地域に多様な協力者がいるケース。さらに公共性や社会的価値があると商品のファンが増える。被災地振興という目的も魅力の一つになる」と指摘する。

 

東京新聞より

 

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