2014年8月

有機栽培の野菜は健康的にすぐれているとする研究が、2014年7月、イギリスの科学雑誌『ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・ニュートリション(BJN)』に掲載された。2012年に「有機野菜は栄養的に勝る点はない」という研究発表が話題となったが、有機野菜のほうがおいしくて健康的であると証明されたかたちだ。

論文を発表したのは、アメリカ・ワシントン州立大のベンブルック教授とイギリスの研究者ら。有機野菜には抗酸化物質が18~69パーセント多く含まれていると結論づけた。

化学農薬がないことで、有機栽培の野菜は抗酸化物質をより多く作り出し、ダメージと戦う。その野菜を人間が食べたとき、抗酸化物質は人間の体をダメージから守ってくれる。

有機栽培で育てられた植物は味も良くなる。BJN掲載の研究では、抗酸化物質の濃度が高いと、味、香り、舌ざわりなどが変化し、また、味わいを感じる感覚にも影響を与えるという。

従来農法の土壌には合成肥料の窒素が高濃度で含まれ、植物はこれをエネルギーとして糖やでんぷんをたっぷりと作り出す。かわりに犠牲になるのが、風味と健康を増進してくれるはずの抗酸化物質だ。また、有機野菜はカドミウムと金属汚染物質が50%少ないことがわかっている。

有機野菜はいまや350億ドル規模の成長産業となっている。多くの消費者が食品の品質についての科学的な情報を求めるようになれば、われわれはより真実に近づくことができるだろう。

 

(文=Mary Beth Albright/訳=北村京子)

 

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