2014年10月13日から15日まで、トルコのイスタンブールでIFOAM(世界有機農業運動連盟)の3年に一度の第18回世界大会と、16日、17日には総会が開催された。80を超える国々からおよそ900名が参加した。

テーマは「オーガニックの橋を架ける」で、ヨーロッパとアジアを2つのボスポラス大橋で結ぶイスタンブールの町を象徴していた。

PGS(参加型有機認証)とCSA(地域支援型農業)が話題に

参加型有機認証制度 PGSとはParticipatory Guarantee Systemの略で、地域に焦点を当てた有機農産物等の品質保証システム。信頼、社会的なネットワーク、知識の交換・生消交流の基盤の上に、消費者の積極的な参加活動に基づいて、生産者を認定するものである。

1980年から90年代から実施され、北米や途上国を中心に近年急速に広がっている取り組みで、第三者認証が利用できなかった小規模農家がこの認証によって地域の市場で有機として販売できるようになった成功事例が数多く発表された。

一方、CSAとは、Community Supported Agriculture の省略で、地域が支える農業を意味し、ローカルなフードシステム構築の一端を担うものとして期待されている。中国では高学歴の若者が農村部の債権を召さ地手就農することがトレンドとなっていて、このような若者が始めたCSAが50-100に上るという。

さらに、オーガニック・ビヨンド
今日、多くの若者の心をつかんでいるのは、オーガニック・ムーブメントを飛び越えたローカル思考や本物志向といった「オーガニック・ビヨンド」を推進する取り組み。

同じ「有機」と呼ばれる商品でも大規模で商業的な方法によるものから小規模な家族農業によるものまで形態は多様だ。その中から生まれる多様な価値が同じ「有機」という言葉で識別することが限界を迎えつつあるのかもしれない。このような背景から、有機認証よりもIFOAMの有機農業の原則に立ち返った発表者が多かった。

福島の有機農業生産者代表として菅野正寿氏が大会で”Fukushima Memorial Speech”を行い、また総会でもその内容をさらに掘り下げて”A Moment of Inspiration, Testimony of an Organic Farmer furom Fukushima”(仮題:天からの啓示、福島有機生産者の証言)というタイトルでゲストスピーチを行い、多くの感動を呼んだ。

次回は2017年にインドで開催される。

IFOAMジャパンの参加報告書はこちら

出典:第18回IFOAM有機世界会議(IFOAM OWC 2014)とIFOAM総会(GA)参加報告 IFOAMジャパン
自然と農業 No. 75 2014/11 刊  世界オーガニック会議2014 イスタンブールにて開催される