2016年2月、ドイツの旅行会社が企画したツアーで知り合いになったドイツ人参加者に、オーガニックについての考えや行動について聴いた報告の最終回です。
初めてのビオ体験はウサギという画期的な内容でスタートしたご夫婦の話
フランクフルト近郊のケーニッヒシュタインから参加されたハルファーさんご夫妻(50代)は、「ビオというと、うちのウサギがねえ」と思いがけない話からスタート。ご主人は製薬会社にお勤めで、奥様は現在は専業主婦とのこと。古代ギリシャ遺跡の円形劇場で歌われたり、自然公園では見事な絵を描かれたり、石鹸も手作りしたりと多趣味なご様子でした。
ウサギ語もわかるのよとおっしゃる奥様は2010年までウサギを大事に飼っていたそう。そのウサギのためにビオの人参を買ったんだけど、普通の人参より腐るのが早かった。それが非常な衝撃だったとか。ビオ人参は自然のものだけ使って作られるからこのようなことが起きるのかもしれないけど、それ以来、ビオマークの信頼性にも疑問をもたれている様子。
ジャムはほぼ手作りで地下室に貯蔵するほど家事に熱心な奥様によると、もともと、コンポストを使って自宅で野菜を作っていた父親を見ているので、自分の庭にはできるだけ食べられるものを植えている。ジャガイモなら4株植えられるほどのスペースしかないけれど、サラダに使える葉物野菜やハーブ類など、フレッシュな取立てを利用できるからという。
食品はNetto(スーパー:ビオはほとんどない)やアルディ(ビオあり)、ファーマーズマーケットで、内容を吟味してビオマークにはこだわらずに購入するというご夫妻。ビオとは相反すると思われる製薬会社にお勤めのご主人に、同僚の方はビオについてどう思われているのか聞いてみると、子供のためにビオを買う人も増えているとのこと。奥様はベジタリアンに近い嗜好だが、動物性たんぱく質を一切摂らないビーガンにまでこだわると、子供の成長には悪影響があるのではと危惧されていた。
自分たちの食品としてはビオには一切関心はないけど、言わせてというお二人の話
トルコには今回で11回目という、コブレンツから参加したベーベル・ハックヴェルトさんとロルフ・ハルトマン氏(60代)。ほかの国々にもお二人でよく旅行されるとか。定年後の生活を満喫されているご様子です。
ビオマークについては知っているし、いつも行く店でビオマーク付きの商品はよく眼にする。でも、ビオについては本当に信頼できるのか、他の人にも話を聞いたりするが確信が持てないし、値段的にも少し高いので基本的には購入していない、というお二人。ともに野菜は好きで料理によく使うが、新鮮で美味しければ、ビオにしようとまではもう思わないという。
それより、少し高いという点に、一言いわせて欲しいとハルトマン氏。有機運動に関与したいとかビオを使いたいというとき、まずお金に余裕がないとできないでしょう? そこが納得いかないんですよ、とおっしゃる。
ビオはまず子供に食べさせたいのに、子供のいる家庭は一番お金がかかる世代。ドイツでは飢えるというほどではないけれど、子供がいてお金に余裕がないという家庭は多い。そのような家庭が値段のことを考えないで、子供のためにビオを買えるよう、国は予算の無駄遣いをしないで、有機農業にもっと予算を投入し、無理なく購入できるよう供給するシステムにして欲しいと思うんですと、力説されました!
執筆:中村 実代