これら外国からの出展は、日本のメーカーが有機の加工食品にあまり熱心でない一方で、有機食品(加工食品)のバラエティを広げる役目があったように思われる。先日、東京のオーガニック専門スーパーや高級スーパーを見てきたが、ビオファジャパンで紹介されたたくさんの商品がしっかり店頭に並べられていた。多種多様なメーカーのオリーブオイルやパスタ・パスタソースはもとより、各種ハーブティーやメキシコのアガペシロップ、ジャム、スープストック、シリアル、豆乳ドリンクやライスドリンク、黒パン、パンに塗るペースト類などなど、それも種類が豊富にそろっている品目もある。どちらかというと国産志向のオーガニック専門店でも、外国の有機加工食品が多く並べられるようになってきている。消費者がバラエティを求めているのだとのことだ。2006年、日本の有力なベビー用品企業が外国産のベビーフードを紹介した。当時は、「ベビーフードは国産じゃないと!」という観念から外国産ベビーフードは日本ではまったく受け入れられなかったという。しかし、今日ではすでに外国産が販売されているのだ。
これまでの展示品と比較しやすいように、10回目の展示品をリストアップしてみる(表5)。
4. これからのオーガニック食品
こうしてみると、10年のうちに実にさまざまな加工食品が加わったことがわかる。オーガニックを好むのはもはやストイックな人々だけではなく、ごく普通の一般消費者にまで広まっているし、これからさらに広まっていくと思われる。ということは、多少見かけが悪くても、また、美味しさよりも人と自然の健康にいいから有機農業で作られた作物をありがたく頂くという人ばかりが相手ではないということだ。国産有機にこだわるスーパーでさえ、消費者の希望で外国製品も品揃えに加えなければ、国産の有機加工食品だけでは消費者の要求に応え切れない状況だ。とくに、国産有機の加工食品のバラエティが非常に限られていて、なかなか新製品が出ないという現状がある。オーガニック食品をよく購入するのはおそらく共働きや高齢者世帯のように収入に余裕のある世帯と思われるので、国産でも、まず、手軽に食べられる食品(インスタントや冷凍、調理済み半製品)や嗜好品、畜産品や乳製品を使用した商品の充実化が望まれる。
ニワトリが先かタマゴが先かではないが、有機食品は高いから売れない、売れないから高いという状況から、通常商品と少ししか値段が変わらないから、どうせであれば環境によいものをという理由でたくさん購入される、たくさん購入されるから通常商品との差がなくなるという状況に発展していくことが望まれる。
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