「有機」と「無農薬」、どちらが安心?

この質問に「無農薬」と答えた人が圧倒的に多かったことは有機関係者には衝撃でした。「有機」の意味するところをもっと知ってもらうことがどうしても必要です。ここでは、「有機・オーガニック」について、わかり易く説明します。

有機農業って何ですか

化学的に合成された肥料や農薬を使用しないで、農業生産による環境への負荷をできる限り押さえた農業生産の方法を用いて行われる農業のことです。安全性が保証されていない遺伝子組み換え技術を使わないことはいうまでもありません。

有機農業の基本は土。たい肥などを使うことで土中の微生物を増やし、生態系を育む、生物が呼吸できる土が生まれます。有機農業をスタートするには3年以上の土作りからといわれるほど、土は有機農業の原点なのです。

どうして「有機」というのですか

「有機農業」という言葉は1971年に日本有機農業研究会の会長 一楽 照雄(いちらくてるお)さんが名付け親です。種のまきどき、適切な防除どき、おいしい収穫どき、旬を大切にして、無理な栽培をしない。有機農業は、時=機のある、旬を大切にするという意味が込められた言葉なのです。

有機 JASって何ですか

JAS

それまで規準もなく、個々人の認識で「有機」と称され、何が有機野菜なのかわからないという消費者の声に応えて作られた有機農産物の表示に関する法律で、2001年4月から施行されました。

この法律の中で有機農産物の規準が決められ、栽培の際の土作りの資材や、天候や大量の虫の発生で栽培が困難な場合に使用可能な農薬リストも定められています。有機農家が、定められた基準に沿った栽培をしているかどうかを検査し、認定する登録認定機関もできました。

この登録機関が認証した農産物や農産物加工食品に有機JASマークが貼られ、このマークのない農産物は「有機」やそれに類する表示(「オーガニック」など)をして販売してはなりません。産物別の規格の概要は下記の通りです。

 

有機農産物:種まきや作付け前2年以上の間、たい肥等による土づくりをした田畑で化学肥料・農薬を使用しないで生産された農産物

有機畜産物:主に有機農産物原料の資料を与え、抗生物質などを病気予防の目的に使用せず、野外でなどストレスのない飼育法により生産された畜産物有機加工食品:有機農産物、有機畜産物、有機加工食品を主な原料とし、化学合成された食品添加物や薬剤を使用しないことを基本として生産された加工食品

出典:JAS制度の手引き  平成20年4月版 (社)日本農林規格

 

無農薬

有機野菜は何年も農薬・化学肥料を使わない田畑で取れた農作物ですが、「無農薬」野菜は、その作物の栽培期間中に農薬を使用しなかった野菜のことです。その前後の作物栽培の農薬や化学肥料の使用は問われません。しかし、無農薬が有機より安全であるという誤認を与えるため、2004年4月以降、「無農薬」「減農薬」の表示は禁止されました。

 

特別栽培農産物

各都道府県で、通常に作物を栽培する際に使用する農薬の回数や化学肥料の量を決め、農薬・化学肥料の使用がその50%以下のものを特別栽培農産物と呼び、「特別栽培農産物」と表示して販売できます。

有機と違って法律でないため自己申告であり、違反した場合の罰則もありませんが、ほとんどが有機認証機関や都道府県などの第三者認証を得て販売されているようです。

 

参考資料:ビオ・スタイル 今井登志樹 著(小学館クリエイティブ)

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