「使用可」とされる石油系合成成分について
JOCA
日本の一般消費者は、ヨーロッパの認証基準は、石油系成分はすべて使用禁止と考えている人が多いのですが、その通りでしょうか?
グランデル
コスモス基準では、石油系合成成分は、一部、「使用可」としています。これらの成分として雑菌の繁殖を抑えることを目的としている合成防腐剤などがあります。
JOCA
それらの代表的な成分名をいくつかあげてください。
グランデル
たとえば安息香酸とその塩、ソルビン酸とその塩などです。これらは食品にも使われており、もともと植物の成分に含まれていたものですが、現在は石油で合成されています。
JOCA
オーガニックコスメ認証基準で、石油から合成された防腐剤が「使用可」というのは、納得しない消費者もいるのではと思いますが。
グランデル
もしそれらの防腐剤を植物から抽出したものに限るとすると、それは量が少なく、価格も非常に高いものになります。ただしコスモス基準では、こうした合成の防腐剤を使った場合は、その割合を記載するように義務づけています。
JOCA
しかし持続可能という点からみても、やはり石油合成成分を使うというのは好ましくないのでは?
グランデル
もちろんコスモスもそう考えています。ですから将来、植物からより安全性がある防腐効果のある成分が出てくれば、それに移行していくことも考えられています。
JOCA
ぜひ早めにそうしていただきたいものです。そのほうが消費者にとってわかりやすい基準になると思います。
コスモスとは
2010年、ベルギーのブリュッセルで、ヨーロッパでは有名な、五つの認証団体が参加して、新たな認証団体コスモスを設立しました。コスモス設立の目的は、ナチュラル&オーガニックコスメの世界統一基準を作ることです。五つの認証団体とは、BDIH(独)、コスメビオ(仏)、エコサート(仏)、イチュア(伊)、英国土壌協会(英)です。
コスモスで許可している合成成分の例
コカミドプロピルベタイン | 合成界面活性剤 |
アルキルアンホアセテート/ジアセテート | 合成界面活性剤 |
アルキルグルコシドカルボン酸 | 合成界面活性剤 |
炭酸ジカプリリル | エモリエント剤 |
カルボキシメチルセルロース | 増粘剤 |
ラウリン酸ヘキシル | 合成界面活性剤 |
グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド | 帯電防止剤、増粘剤 |
ジステアロイルエチルジモニウムクロリド | 帯電防止剤 |
安息香酸およびその塩類 | 防腐剤 |
サリチル酸およびその塩類 | 防腐剤 |
ソルビン酸およびその塩類 | 防腐剤 |
デヒドロ酢酸およびその塩類 | 殺菌剤 |
ベンジルアルコール | 殺菌剤 |
▲2007年以降、新認定製品に付けられるマークは上のようになります。
▲オーガニックEXPO 2014のセミナーにおけるBDIIH(ドイツ化粧品医薬品商工連盟)のローランド・グランデル博士のプレゼンテーション。原稿(英語)はこちらから
オーガニック生活便 VOL.13には、オーガニックの先進国オーストリアの取材記事やアイシスの独自基準で集められた多くのオーガニック商品が紹介されています。
BDIH(ドイツ化粧品医薬品商工連盟)
ドイツのビジネス都市、マンハイムに1951年に創設される。化粧品、医薬品、食品(特にサプリメントとダイエット食品)の製造と販売に関して、約500の企業や団体が加盟している。2001年2月には、世界で初めて自然化粧品の基準を定めた。
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