やました農園は、福岡の久留米市で苗の栽培から収穫まで一貫して農薬を使わず栽培を行っているいちご農家です。関東では「大地を守る会」が、やました農園のいちごを販売しています。
目先の病害虫を減らすことが目的の農薬は、使い続けると耐性菌ができより強い農薬を使わなくてはならない、という悪循環ができてしまいます。農薬を使うことで土地や水も汚染されてしまいます。
しかし、いちごは最も農薬を使う作物の一種です。どのように栽培に取り組んでいるのか、経営から栽培まで全て行っている山下さんご夫婦に、お話を伺いに行ってきました。
雑草に交じって、赤いいちごや美しいいちごの花が咲いていました
やました農園 山下学さん
山下学さんは「苗の栽培から収穫まで一貫して農薬を使わず、株自体の免疫力を第一に考えて、いちごを育てています。農薬に頼って虫や病気がいったん治まっても、そのうちにその農薬は効かなくなってしまう。耐性がついてしまうからです。そしてより強い農薬が必要になります。農薬を使う限り、この連鎖から逃れられない」と、おっしゃっています。
ハウスの中に並んでいるポット
「それでやせ我慢しながらも農薬を使わない選択をしました。通常の栽培に比べて収穫量は減り、収穫時期も短くなっています。それでもハウスで思いきり深呼吸できる幸せは、格別です。脱サラして10年。農業研修を経ていちご農家として独立して8年たちました。まだまだ未熟で、課題は山積みなのが現状です」。
元気ないちごの苗
炭素循環農法と呼ばれる農法も勉強中だそうですが「その考え方、やり方をとりいれながら、ハウス栽培、とくにいちごで実現させるためにはどうしたらいいのかと試行錯誤を続けています。ただ、どの作物にしても、微生物が要だと確信するようになりました。たくさんの種類の微生物が豊かに暮らしている土から、健やかな作物が育ってくれるのだと思っています」。
最後に「いってしまえば、人間ができることは、微生物さんに気持ちよく暮らしてもらえる環境をできるだけ整えることでしょうか。農薬なし化学肥料なしで、いちご農家として成り立てば、いちごはもちろん、他の作物にも広がるはずです」。
「みんなが、やせ我慢ではなく、無農薬、無化学肥料で栽培できるようになることは、農業に限らず、自然に負荷をかけない、いわば『循環型の暮らし』につながっていくと思うんですね。それを願って、いちごの栽培に取り組んでいます」と、力強くおっしゃっていました。
いちごは半年間を通じて収穫し続けなければならないため、リスクと経費などの課題があり、今はまだ有機肥料だけの栽培は難しいそうですが、今シーズンは育苗から有機肥料のみでトライすることにしたそうです。
大きな可能性を秘めた山下さんご夫婦のいちご栽培です。これからの農業のあり方などのお話は、大変興味深いものでした。そして、さらに新しい試みに対する若いご夫婦の熱い想いが印象的でした
やました農園
いちご生産者 山下 学・山下 真奈美
〒839-0804 福岡県久留米市宮ノ陣町若松1272-1
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