ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富で、美容にも健康にも効果が期待できる雑穀米。今ではいろいろなものを見かけますが、日本で初めて「雑穀米」をつくったのは福岡県久留米市にある「ベストアメニティ」。
ベストアメニティは、北海道から九州まで、延べ1500軒もの農家さんと契約しています。丹念込めて栽培された雑穀は商品化し全国に販売しています。また、自社で運営する店舗での販売、レストラン・旅館で使用されたりと、農業とビジネスをつないでいます。
さらなる事業展開が期待される、ベストアメニティグループの代表 内田弘さんへお話しをうかがってみました。
「体にやさしい、おいしい健康」をテーマに続けてきた
もともと内田さんは、大手生命保険会社に勤務していました。当時は、日夜、営業で走り回り、外食は当たり前、タバコやお酒は底知れず。そんな日々が続き、とうとう病気になってしまいました。病気になったことで、日々の「食生活の大切さ」に気付かされました。以来、多くの人の健康に貢献したいという思いで、ベストアメニティを立ち上げます。
十六雑穀米
15g×5袋:410円、200g :918円(税込)、500g:2,160円
1990年の創業以来、「体にやさしい、おいしい健康」をテーマに商品開発が行われてきたベストアメニティ。世界的にオーガニックが注目される中で、食品添加物・化学調味料不使用の商品を、これほど大きく展開させている会社は少ないのでは。100%国内産の雑穀米から始まった自社商品には、より魅力的なものが揃いました。
素材の味を引き出す誘導型の調味液「ナチュラルクック」
雑穀系発酵調味液 ナチュラルクック
120g:594円(税込)、525g:1,728円(税込)、1050g:2,484円(税込)
穀物発酵液、魚しょう、焼酎をブレンドしてつくられた「ナチュラルクック」は、素材に味を付けるのではなく、素材の旨味を引き出す調味料。とくに、日本人の健康に配慮して開発された商品です。
「平成30年から食塩相当量の表示が義務化されるので、国をあげて減塩減糖に変えていこうとしています。日本は海外に比べ、塩と砂糖の摂りすぎで栄養バランスが悪く、血液の病気が多いですね。ナチュラルクックは、食材の旨みとコクを引き出し、余分な調味料を加えずに、美味しい料理に仕上がるので、減塩減糖につながります。」
赤米甘酒 775g:906円(税込)
女性には、「赤米甘酒」が人気です。もち赤米をはじめ、すべて国内産の原料を使用した甘酒。ノンアルコールなうえ、サラッとした口当たりで飲みやすく、子供やご年配の方にも人気の商品。
また甘酒といえば、飲む点滴と言われるほど栄養豊富な健康飲料で、美容効果も期待できるものです。
日本の農業を守る食料自給率を上げる取り組み
本来農業国だった日本の40%という低い食料自給率やTPPなど、日本の農業への問題意識から、ベストアメニティでは、「03180運動」という取り組みも行われています。これは、2003年から15年計画で、食料自給率を50%に上げようというもの。輸入農産物に頼るのではなく、安心して食べられる国産の穀物や野菜の利用を推進することが目的です。
「この運動は、日本の農業を守り、応援する取り組みでもあります。私たちが届けている雑穀は、全国各地で栽培しています。農家のみなさんと二人三脚で日本の食をより健康にすることを目指しています。」
日本の農家の現状は、高齢化に需要の低下などで耕作放棄地が増加傾向。ベストアメニティでは、雑穀米を中心に、手間ひまかけてつくられた農産物の需要を少しでも増やすよう努力されています。その取り組みは、農産物だけでなく海の食材まで広がっています。
熊本県天草での漁師の方との出会いをきっかけに、日本の海を元気にしようと考え、水産業への取り組みを始めました。まずは九州の海を元気にするため、天草で収穫される天然ものの海産物の商品化など、様々な取り組みを行っています。
「養殖ものではなく、天然ものにこだわった海産物を使用した『Umiシリーズ』。商品が誕生する前は、何トンものわかめを購入して大変な時もありましたが、天然の価値が必ず認められるという確信があり、商品化まで至りました。天然わかめは、今では在庫が足りないくらいです。終わらせず続けることで、失敗が消えてプロセスになっていきました。失敗を成功に変えるためには、続けていくことが本当に大切です。」
これからも新商品の開発を続けていくという内田さん。
今年は、年中稼働できる甘酒の専門工場をつくり、穀物を使った機能性甘酒シリーズの発売を予定しています。
微生物がたくさんいる土で栽培する
ベストアメニティのグループ会社に、生産部門を担う「うちだ自然農場」があります。うちだ自然農場は試行錯誤を重ねながら、化学農薬を一切使わない有機農業に取り組んでいます。
熊本の小国町に12.56ha、地元の久留米市三潴(みづま)に5.4haの農地を所有しています。そのすべての農地は、有機JASの認定を受けています。土が最も大事だと、内田さんは語ります。
「目には見えませんが、うちだ自然農場の土には微生物がたくさんいます。微生物は、化学肥料を使うといなくなってしまいます。微生物がいないところに、無農薬で作物はつくれません。有機JASは、無農薬で化学肥料を使用せずに育てた作物だということを分かりやすくするためでもあります。」
うちだ自然農場の有機JAS「あまおう」
ほとんど不可能と言われていた、イチゴの無農薬・無化学肥料栽培にも成功しました。
「有機JAS認定 福岡県産あまおうをつくっているのは、うちだ自然農場だけです。他の品種でもイチゴの有機JASは、日本では数例しかありません。有機JASあまおうの栽培に挑戦することを農業試験場に相談すると絶対できないと言われ、それを社員に伝えたところ、逆に社員がやる気を出しました。イチゴの表面に触れると傷が付いてしまうので、虫取りもピンセットでひとつ一つやっています。うちだ自然農場は、何事も諦めずやり続けて、良い農場になっていきました。」
内田さんの問題意識は、生活の基準になるものです。少しだけでも、何を食べたらどうなるのか勉強してほしい、日常の食生活を見直してほしいと思っているそう。「難しく考えずに、意識して醤油をかけない、意識してちょっと野菜を多めに食べる、少しだけ意識して塩分を減らす」などなど…。そんな、ちょっとしたことの積み重ねで、毎日の健康を自分自身がつくっているのだとわかりました。
ベストアメニティ 企業情報
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執筆者:奥田 景子 ライター(エシカルファッション、フェアトレ-ドなど)。福岡県生まれ。文化服装学院スタイリスト科卒業後スタイリスト。以降雑誌を中心にしたスタイリスト。社会的なことに興味を持ち、大学院で環境マネジメントを学ぶ。理学修士を取得。2013年から福岡を拠点に移してライターとして活動中。 |