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文献集

社会の変化と有機農業の可能性有機農業の広がりと今後 (徳江 倫明)

早いもので、BioFachJapan(オーガニックEXPO)は、今年で4年目を迎えました。この4年間の農業や食をめぐる社会的な変化はかつてないほど大きいものがあります。2001年に有機JAS法が施行され、有機農産物・加工食品について明確な定義がなされました。また、2000年以降、食に関する様々な問題がクローズアップされ、消費者の食の安全への意識が高まり、食品業界において各企業が食の安全への取組みを進める一方、食品安全基本法をはじめとして、食の安全に関する法律が次々と施行され、法的基盤が強化されました。しかし、それでもなお、食品の偽装表示は相次いで発覚し、輸入食品からは相変わらず基準値を越える残留農薬が検出されています。

 
 これは、食の安全に関する問題というのは、最近になって生じたものではなく、これまで、ずっと蓄積されてきたものが顕在化したに過ぎないということが原因であると考えられます。つまり、長年蓄積されてきた問題は一朝一夕では解決することは難しいということです。レイチェルカーソン女史や有吉佐和子さんの著書によって、30年以上前に指摘され、その当時から、日本では市民運動を中心に有機農業が発展してきましたが、食に対する価値観、また安全や環境に対する社会的な意識や評価は、根本的には何も変わっていないのではないでしょうか。しかし、最近の変化は、これまでのものとは様相が違うように思えます。これまで、食の安全に関する問題を起こしたために、企業がなくなるということは考えられませんでした。食の安全の問題は、企業の存続さえも左右するようになってきています。

 
 食の安全に対する社会的な意識が高まれば、それが有機農業に対する追い風となって、発展していくことを期待したいものですが、実際は、いくつものハードルがあるように思います。まず、現在の有機に関する法律は、JAS法という表示法に過ぎず、有機農業を育成するような法律にはなっていません。さらに、私は、有機農業の発展には、慣行農業からそこまでの段階的な発展が必要と考えていますが、裾野を広げるという意味では、特別栽培農産物の存在が重要と考えています。しかし、生産者や小売店にとっては、ガイドラインの改定による運用の難しさがあり、また、一般的な消費者は8割以上が知らない状況です。

 
 有機の市場は、全体の食品の中では小さいものの、常に成長し続けています。BioFachは他の食品展示会とは異なり、明確な基準によって選ばれた製品のみが展示可能な有機専門の展示会です。国内に留まらず、海外からの展示も多数あり、有機に関する海外情報を得るためにも絶好の機会であることは間違いありません。これまで以上に、BioFachJapanが大きな成果を収め、有機農業の発展に寄与することを期待しております。

 
出典:BioFach Japan 2004 公式ガイドブック
執筆者:日本SEQ推進機構代表 徳江 倫明

PROFILE:
1951年熊本県水俣生まれ。早稲田大学卒業後、ダイエーに入社し、青果流通を担当。78年有機農産物流通団体「大地を守る会」に参画。88年日本リサイクル運動市民の会に参画し、有機農産物の宅配事業「らでぃっしゅぼーや」を立ち上げ、代表に就任。2001年NPO法人IFOAMジャパン設立、常任理事に就任し、現在副理事長。日本SEQ推進機構代表。中国南京農業大学客員教授。

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