資材会社からみた有機農業の現状と今後への提言(諸 百合子)

しかし、人間の食生活において、一日30種食すると良いということは、食品の持つ単体だけでは栄養のバランスは得られず、複合食が有効であることは、食品や薬剤よりも明らかであり常識です。人間の薬には、西洋薬と東洋薬漢方が認められていますが、審議会は、植物単体なら良いが、複数合わせた複合物は認めないなど、理解に苦しむ基準を振りかざしています。

 
有機栽培先進国ドイツを始めEUでは一般農薬を使用した栽培と無農薬有機栽培の二つしかありません。その表示は、現実性に基づいた土壌検査及び農産物残留農薬の有無で、有機栽培の認証を実施している合理性は、極めてシンプルで確実性があり、信用性が確保され、消費者の安心安全が得られるものです。このことからも日本は、審議会の議論や法律論だけではなく、現実性に基づいた合理性ある充実した検査制を中心に土壌や農産物を検査によるか作物評価認証制に改めるべきでありましょう。つまり、人間が食する大切な食べ物が生産された作物の農薬残留の有無の結果を検査制度を各所に確立して、認証すべきなのです。

 
しかしながら、有害な臭化メチルに有効な代替品である病害虫に強い漢方植物の有機資材の販売は、農薬法を盾にした前近代的な閉鎖性と既得権者の壁は厚く、販売組織への参入、自由で公平な競争が出来ない閉鎖的システムに直面しています。このことは、農薬工業会と連なる日本の全国農業協同組合それに影響された一部の生協の規則は、生産農家に及び、使用資材まで、その団体が指定する資材以外を使用してはならないことが生産農産物の購入条件として課されているのです。換言すれば、生産農家が自由に農業資材の調達や選択が出来ないようにガードされ、その運用が隅々まで徹底されているからです。従って、資材の先進性や選択の自由や創意工夫が失われ、有機栽培の農家の増加は遅々として進んでいないだけではなく、このままでは、日本農産物の国際競争力も低下することは論を持たないところです。日本の農業は、いま正に閉息期であり、新しい生産手段が望まれています。

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