オーガニックフラワー(自然と農業編集部)

オランダへ取材する機会があったのでオランダを中心にオーガニックフラワーの普及状況と、日本での取り扱いについて紹介します。
花は観賞用ということもあり、虫によって葉に穴があけられるようなことがあると商品価値が下がってしまうのでオーガニック栽培は非常に難しい分野です。まず導入として、オランダが世界の中でいかに花の流通において重要なポジションを占めているかを説明するために、代表的な花き市場であるアールスメア生花中央市場を紹介します。
およそ100万平方メートルの敷地をもつこの市場は、花き生産者を中心に設立されたもので、屋内市場としては世界第1位の大きさとなっています。毎日1,000人を超える参加者が、大量の花やプラントを競り場で売買しており、2006年には17億5,000万ユーロ(約2,922億円)の売買高を記録しています。このアールスメア生花中央市場は2008年1月に、世界最大の花市場・フローラホランド生花市場との合併も控えており、合併後の総売上も40億ユーロと世界最大の市場になる見通しです。

 

環境配慮型の生産体制へシフト

アールスメアはこうした市場の規模とヨーロッパの交易の中心地という圧倒的なアドバンテージを活かし存在感を強めていますが、その一方で生産者は品質に関する向上にも努めており、今から10年前に、消費者の環境志向を踏まえた形で、環境へ配慮した生産に対するものを含む、花きの総合的な認証基準(MPS)をスタートさせました。現在軌道に乗った同認証システムは、日本を含めた世界各国でも花きの標準認証となりつつあります。
オランダではこの基準をクリアするため、環境負荷を低減させるさまざまな取り組みも実際に行われています。たとえば球根は、土から取り出す過程で機械によって傷付き病気になることがあり、収穫する前にそれを予防するための薬品を撒くことが一般的です。
オランダではさまざまな研究成果から、気象条件を考慮して出来る限りこの段階での薬品の散布を少なくしたシステムを作り上げたといいます。また、薬品を使わないで球根の保存ができるか、といった試験なども行われている最中だそうです。オーガニックとは言わないまでも、オランダでは全体として環境に配慮した生産体制がかなり進んでいる、という印象を受けました。

 

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