有機畜産物の認定の現状(自然と農業編集部)

有機畜産の課題

有機畜産物を生産するために国産の有機穀物を入手することが最も理想的です。しかし大部分の生産者にとって、それは残念ながら現状では不可能と言わざるを得ません。そこで完全配合飼料か二種混合飼料の活用となります。有機配合飼料の価格は一般の飼料と比べて2.5〜3倍といわれているように、有機畜産物の生産には高価な飼料を家畜に給与することになります。くわえてアニマルウェルフェアを満たすための環境整備と、低密度での飼育が必須となるため、「ビジネス」の視点がより一層強く求められます。つまり、生産性のみならずあらゆる方面に対する効率性が求められ、「オーガニックの理念」と「経営理念」の接点を見つけなければ、経営そのものが行き詰まる可能性が高まってきます。この均衡点の模索が一つの大きな課題となります。
鶏について言えば、有機配合飼料の内容成分の約60%は有機トウモロコシです。トウモロコシに変わる代替飼料として期待の高まっている有機飼料米(今のところは無いがいずれは登場する見込み)を導入しても、栄養学的にその限界は10%程度といわれています。また「エコフィード(食品残渣)」は内容成分が安定しないだけで無く、そもそも有機飼料として利用できません。いずれも切り札とはなり得ません。したがって、これまで同様にトウモロコシに依存しなければならない状態が今後も続くと考えられています。
国産原料の増産を図るためには、広域的な有機原料供給基地をいくつか作り上げ、安定供給可能な業者と理念を共有して対応することが将来の課題になるといえます。

 

有機畜産物の生産原則

有機畜産物は、「農業の自然循環機能の維持増進を図るため、環境への負荷をできる限り低減して生産された飼料を給与すること、及び動物用医薬品の使用を避けることを基本として、動物の生理学的及び行動学的要求に配慮して飼養した家畜又は家禽から生産すること」を生産原則としてあげています。つまり、㈰有機飼料基準(環境への負荷をできる限り低減して生産された飼料を給与すること)、㈪医薬品使用制限基準(動物用医薬品の使用を避けること)、㈫アニマルウェルフェア基準(動物の生理学的及び行動学的要求に配慮して飼養した家畜又は家禽から生産すること)の3つが基準として掲げられています。

 

出典:BioFach Japan 2009 公式ガイドブック
執筆者:株式会社 木香書房「自然と農業」編集部

PROFILE:
1924年に設立し、80年を超える歴史を持つ農業関係出版社。定期刊行物として、環境保全型農業を目指し人々を対象とした季刊「自然と農業」を発行。またその他の刊行物として養鶏関係の技術専門誌である月刊「鶏の研究」がある。定期的に、オーガニック関係の海外視察や、食に関するセミナーを開催している。幅広い視点から企画・取材し、農業の発展に寄与できるような活動を念頭におく。

URL: http://www.kikoushobou.net/

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