3. オーガニックコットンの場合
オーガニックコットンの製品を目にしたことがあるでしょうか。世界には様々なオーガニック製品があり、コットンでもタオル・シーツ・バスローブ・洋服・Tシャツ・ナプキンなど様々なアイテムがあります。しかし、何を基準にオーガニックコットンと言われているのでしょうか。
まず、その製品が原料となる原綿を栽培する農場で、食品と同じようにEUやアメリカ、IFOAM(International Federation of Organic Agriculture Movements:国際有機農業運動連盟)などのオーガニック基準に基づいて、独立した利害関係のない第三者の立場で、認証機関が審査・監査の実務を行います。そしてその審査の後、基準をクリアしていると判断されれば、認証機関によって、認証書が発行されます。
その認証を取得した農場から、糸や布、最終製品に仕上げるまでの加工・流通過程の認証が、また別の基準として存在します。前述の政府機関等では基準を策定していない、もしくは運用があまりされていない実情もあり、オーガニック繊維については、国際的な団体としてGOTS(Global Organic Textile Standard)やOE(Organic Exchange)などが基準を策定し、同じく第三者認証機関によって、最終製品に至るまでトレーサビリティー、つまり追跡可能かどうかすべてを確認し、書類及び実地審査を行うことで、最終的にロゴのついた製品が店頭に並び、消費者の手に渡っていきます。
GOTS・OEについては昨年のBioFach Japan オーガニックEXPO2009のガイドブックに掲載させていただいたので省略させていただきますが、基本的にはトレーサビリティーを辿りオーガニックコットンと通常のコットンが混ざらないように管理・生産されているかが重要となります。さらに、OEではブレンドした場合、何%なのかを明記、GOTSでは同じ素材の混合は認めておらず、染料や助剤・排水の基準などの環境面・児童労働や労働条件などの社会的側面も審査内容に含まれています。
これらの国際基準は、国内外問わず世界中でオーガニックコットン製品として消費者が判断しやすいように、またロゴの氾濫等で混乱を招かないように、世界で統一した信頼のおける基準と運用に向けた動きの中誕生しました。
CSRの視点から見て、オーガニックコットンの普及によって、農場では土壌自体が健全になり、働く人々の健康被害も減り、借金等の苦しみから解放され、働かされていたかもしれない子どもたちも、学校に通えるようになるなど、メリットが生まれることでしょう。また、農場のみならず、工場で働く人々にも当然良い影響が生まれます。それは、適正な賃金が支払われ、劣悪な労働環境から開放されるためには、発注側の企業、さらにはその商品を選択する消費者の私たちが、自信を持って「この企業の商品は価値がある」と判断し購入することで、生産者を間接的に支援することにも繋がります。
そこで注意しなくてはならないのは、コットンについては日本では食品のように法律で規制されておらず、何をもってオーガニックと主張しているのかが不明瞭な点があることです。先日ガイドラインが発行され、トレーサビリティーが求められるようになりましたが、本当に店頭に並んでいる最終製品までその保証や証明があるかどうか。今まではどの業界でも、自主的に主張し信頼を得ている企業は少なくありませんでした。しかし、製造工程のチェーンが長ければ長い程、自社ですべてを追って確認していくことはとても困難であり、その作業を第三者として証明しているのが認証だとも言えます。しかし、認証基準やその認証プロセスは本当に信頼できるものなのでしょうか。
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