Global Organic Network代表・中村実代がオーガニックな人に会ってお話を伺うオーガニックインタビュー。国産 有機栽培ケール100%遠赤青汁株式会社 代表取締役 高岡照海さんにお話を伺いました。
なければ自分で作る!50歳からのオーガニック人生
─ 展示会でもいつも元気いっぱいの高岡さんに、一度ゆっくりお話を伺いたいと思っていました。まず、社名の遠赤青汁の「遠赤」の意味を教えていただけますか。
高岡照海さん(以下高岡):遠赤はまんま「遠赤外線」のことです。遠赤外線で乾燥すると、ギャバや各種アミノ酸がUPするんですよ。独自の製法を開発して、ケールを遠赤外線を使って常温で乾燥させています。この製法で特許もとっています。(日本特許「緑黄色野菜の粉粒加工方法」:第2796227号)
─ 特許ですか?それはすごい。
高岡:他にもいろいろな機械を作ってますよ。ケールの粉末を粒にする機械も作ったし、黒ニンニクの発酵工場も自分で設計を引きました。
─ すばらしいDIY精神ですね。機械の設計を専門に学んでいらしたのですか?
高岡:いいえ。全く門外漢です。必要にせまられると、人間は思いもかけない力がでるものです。思いがあればたいていのことはできるようにできている(笑)
─ なるほど。それにしても、なぜ?
高岡:単純なことで、なかったからです(笑)。例えば、錠剤を作るには、普通は結着剤を使うのですが、それはどうしても使いたくない。そんなことをしたら、何のためにオーガニックにこだわって土作りから取り組んでいるのかわからなくなりますから。では、結着剤を使わずに錠剤を作るにはどうしたらよいか?みんなそんなことは無理だという。だったら、自分で作るしかない、ないなら作ればいい、と。
─ 「粒」にこだわった理由は?
高岡: 粉末だとどうしても水や牛乳などに溶かして飲むことになるでしょう?そうすると、それだけでおなかいっぱいになって飲みにくい、とか、毎日飲んでいると飽きてしまう、とか、お客様からそういう声が聞こえてきた。体によいことはわかっているけれど、続けられない。だったら粒にすれば、もっと気軽に毎日続けてもらえると思ったんです。
─ お客様の声に押されたのですね。
高岡:そうです。健康のために毎日続けてほしい。だから粒にする。そこに不要な添加物は入れたくない。単純なことです。今は、このケールの青汁で介護食の開発に取り組んでいます。介護する人もされる人も、食べやすく、おいしく、体によい、理想の介護食になると思いますよ。
─ 高岡さんがオーガニックを意識したのはいつ頃ですか?
高岡:もう70歳を過ぎていますが、実は若い頃、病気で死にかけたことがあるんです。お医者さんはよくしてくださったのですが、時代が時代でしたから、十分な治療法もなく。あともう一回注射されてたら、きっとだめだったんじゃないかなぁ。それくらいよくなかったのですが、ぎりぎりのところで、ピンと来たんです。野菜だ。野菜が足りない!で、自主的に退院して、自分が思う食事に切り替えて。結果こうして今も元気に生きています(笑)オーガニックや有機という言葉は後になって知った。
─ そうなんですね。ではそれ以来ずっと野菜作りを仕事に?
高岡:いいえ。農業や製造業を仕事として始めたのは、1992年に50歳で遠赤青汁を創業してからです。それまでは造園関係の仕事をしていました。
─ 50歳で一からのスタートとはまた大胆ですね。何かきっかけがあったのでしょうか?
高岡:アトピーを苦に、若い女性が飛び降り自殺をした、というニュースを見て、またピン!が来たんです。こんなことで死んではいけない。野菜だ!野菜を作ろう!と。で、今の工場長に声をかけて、何もないところから始めました。ちょうど「有機農産物及び特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」が制定されるというタイミングだったのですが、審査に来た人がびっくりするくらい、やったこと、使ったもの、すべてを記録して、ベストを探す。振り返ってみれば、最初からそういうやり方でずっと来ていますね。
遠赤青汁 オンラインショップ http://www.enseki.com/
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