ゴールデンウィークの京都でアート写真を体感する。「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2015」

5月10日まで、市内15会場に計9ヵ国14組の作品を展示する「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2015」が開催されています。
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第3回目の今年のテーマは「TRIBE:あなたはどこにいるのか?」。サイトでは、坂本龍一氏の「21世紀の都市文化のなかで、かつて部族社会が持っていた互酬的な関係を取り戻そうという機運(運動)が世界のあちこちで起こっている。お金が人の運命や国家さえもコントロールし、それがアートにさえ及んでいることに、うんざりしている人間が世界中に増殖しているのだ」という一文が寄せられています。

KYOTOGRAPHIE代表は、血や土地といった先天的なつながりだけでなく、個々の意志や価値観で結ばれた人種や国境を超えるような人々の集まりを現代の「TRIBE」として捉え、写真を通して多種多様な「人間の繋がり」を見せていきたい、ということです。

15会場の中から、祇園新橋伝統的建造物、有斐斎 弘道館、SferaExhibition、嶋臺ギャラリーの4会場をご紹介します。

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▲会場になっている建物は、赤い旗がたてられて目印に。

海女の島:ルガノ文化博物館コレクション
祇園新橋伝統的建造物

印象的だったのは、祇園新橋伝統的建造物のファスコ・マライー二「海女の島:ルガノ文化博物館コレクション」。1954年に能登半島の北方に位置する、御厨島などで撮影した裸一貫で潜り漁をする海女の先駆的な記録作品として知られているものです。女性たちの自然で力強く、あふれる生命力を気持ちよく感じました。

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▲趣のある建物の2階に展示されています。

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▲写真に合わせた展示の芸術性が味わえるのも魅力。

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A Natural Order―自然に向かう人々
有斐斎 弘道館

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有斐斎 弘道館では、ルーカス・フォーリアの「A Natural Order―自然に向かう人々」。現代アメリカを反映する、自給自足生活者たち、というテーマの写真。5年間をかけて撮影された、電力の供給システムから外れた生活をおくる人たちを撮影したものです。

狩りをして畑を耕しながら、ソーラーパネルや車のバッテリーでインターネットにアクセスしているという現代のヒッピー的なライフスタイル。美しくも不思議な感覚を覚えました。展示デザインは、オリバー・フランツによるもの。

社会的な問題意識を持ったルーカス・フォーリアは、昨年は鉱山ブームによる大規模開発によって、地勢や人々の暮らしが激変するアメリカ西部の現状を取材した『Frontcountry』を出版し、高い評価を得ているそうです。

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▲自給自足のために作られた道具など。
 

チェルノブイリに生きる人々の映像
Sfera Exhibition

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カフェやショップ、ギャラリーが併設された「Sfera(スフェラ)」の4階のギャラリースペースで、ルイ・ジャムの「チェルノブイリに生きる人々の映像」が展示されています。東日本大震災で福島にいた子供たちや、今も生活を続ける子供たちのことも思わずにいられない印象です。

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▲事故発生当時や、それ以降にも残ってゾーン内に居住していた子どもたちの肖像。
 

ブルーノート・レコードのビジュアルアーカイブ
嶋臺ギャラリー

京都の伝統的な町屋空間「嶋臺ギャラリー」では、ブルーノート・レコードの貴重なビジュアル・アーカイブがニューヨークから初上陸。日本初公開のフランシス・ウルフの作品が展示の中核となっています。クラウディオ・コルッチによる、目で感じる音楽の展示表現にも圧倒。

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▲LPジャケットの色に注目し、色鮮やかな空間にモノクロの写真が展示されている。

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▲ジョン・コルトレーンのアルバム“ブルートレイン”のセッション、1957年9月15日
 

写真は社会性の強いものです。私たちの心の動きを、時代の問題を可視化しているものだと感じます。中には重たいメッセージを感じるかもしれませんが、受け止めて受け入れ、逆に発信していける力をもらえるかもしれません。

美しく気持ちが良い5月の京都という街で、たくさんのものを体感できる作品と向き合ってみてください。

*KYOTOGRAPHIE 2015は、他にも大人も子どもも楽しめるイベントもあります。詳しくはウェブサイトへ。チケットは、パスポートが一般2,500円、学生1,500円、単館は500円~700円(学生料金あり)。虎屋京都ギャラリー、コムデギャルソン京都店、誉田屋源兵衛 黒蔵、無料。

 

レンタサイクルがお勧めです!

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京都は狭い路地に素敵なお店があります。展示会場が離れているところもあるので、晴れていれば、レンタサイクルを利用して回るのも。市内4ヵ所に「まちかどミナポート」というステーションがあります。カードのみのですが利用方法は簡単です、サイトで確認して使ってみては。
http://www.archims.co.jp/

KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2015http://www.kyotographie.jp

 

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執筆者:奥田 景子

ライター(エシカルファッション、フェアトレ-ドなど)。福岡県生まれ。文化服装学院スタイリスト科卒業後スタイリスト。以降雑誌を中心にしたスタイリスト。社会的なことに興味を持ち、大学院で環境マネジメントを学ぶ。理学修士を取得。2013年から福岡を拠点に移してライターとして活動中。

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