有機農産物認証に、私たちも参加できるPGS(参加型認証システム)の試みがスタート! その② たくさんの生きものが見つかった!!

9月18日(木)、静岡県富士市の縄文の里 大鹿館で開催されたPGS(参加型認証システム)に関する日本で初めての実践的な研修会。その①でご紹介した一般社団法人生き物認証推進協会 代表理事 徳江倫明氏の説明に引き続き、同協会理事の林 鷹央(はやし・たかお)氏より農業と生きもの調査ならびにその方法について説明がありました。
  
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▲一般社団法人生き物認証推進協会理事 林 鷹央 氏

  
今日は、田んぼ環境に依存度が高いものを観察することになりますが、それらは、高度経済成長が始まる昭和30年代以前だと普通に見られた生きものたちだそう。日本の環境はこのときから大きく様変わりしていきました。
 
こうして、午後から、富士市青木にあるなごみ農園(代表:宮田雅和 氏)の水田でいよいよ生きもの調査のフィールドワーク。なごみ農園は、有機野菜ならぬ、「気」がある野菜「有気野菜」を育てている農園とのこと。次世代を残せない一代交配種ではなく、個性のある種をできるだけ自家採種し、自然界とは闘わない「おかげさま栽培」で次世代につなげる農業を実践しています。

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▲なごみ農園代表の宮田雅和氏

林氏によると、生きもの調査がフォーカスするのは、① 田んぼの虫 ② あぜ道と畑の草花 ③ 畑の虫。

さっそく、35人の生産者と役場関係者6名、生協関係者2名、総数43名の参加者が虫を掬いとるための網や籠、容器を持って、およそ一反ほどの田んぼに繰り出しました。5月のゴールデンウィーク頃に田植えをしたまわりの田んぼでは稲がもう稔っていて、水はたまっていませんが、昔ながらの月の暦に従って6月に入ってから田植えをした宮田さんの田んぼは、収穫は11月に入ってからだとか。まだ20センチほど水がたまっていました。
 
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子供に返って昆虫採集に熱中したおよそ30分後に、収穫物を手に集まり、田んぼで見かける生物としては珍しい種(Aグループ)、中くらいの種(B)、それほど珍しくはない種(C)の3つと外来種にカテゴリー分けしながら、林さんの説明を聞きました。林さん作成の「水田に生息する生きものによる田んぼの豊かさ指標」では、それぞれ5点、3点、1点で、外来種はマイナス2点で評価します。
  
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見つかった生きものは次の通りでした:

Aグループ:ギンヤンマのヤゴ
Bグループ:コガムシ、ヒメイトアメンボ、アジアイトトンボ(成虫&ヤゴ)、モノアラガイ、トノサマガエル
Cグループ:ヒメガムシ、ゴマフガムシ、アメンボ、カタビロアメンボ類、トンボ・アカネ類(成虫&ヤゴ)、ミズアブ幼虫、トビムシ、アシナガグモ、コモリグモ、ウマビル、アマガエル

 
これらを指標に則って合計すると28点で、林氏が設定された「田んぼ総幸福度シート」によると、森林が近くにあるなど、ビオトープ、環境配慮のある田んぼであることがわかります。ただ、この田んぼは一度水抜きをされたそうで、水抜きなしの状態だと生きものはもっと多種多様であっただろうとのこと。

このなかでも、イトアメンボ類などは、有機圃場ではよく見られますが、農薬を使用している田んぼで観ることはほとんどありません。これがいたことなども、そこで行われている農業に対する生きものからのメッセージだったりするわけです。
 
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▲見つかった生きものたち、左からギンヤンマのヤゴ、コモリグモ、アマガエル

 
今回は、植物についてまではご報告できないのですが、除草剤を使用していない有機田んぼや休耕田などに生えるホシクサもたくさん見つけました。これも、宮田さんが有機農業をやっていらっしゃる証明です。
 
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▲手に持っているのがホシクサ
 
 
さいごに、午前の講演で机を並べた「こんぺいとう農園」の中村マゼラン太郎さんをご紹介しておきましょう。

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中村さんはブラジル移民2世で、いわば国際的な世代を超えたUターン組み。日本に来て、日本米のおいしさに感動した中村さんは、そのお米をオーガニックで自分で作ってブラジルの人々に届けるのが夢だそうです。

農園の名前「こんぺいとう(金平糖)」はブラジルの公用語ポルトガル語で色とりどりの砂糖菓子を意味するconfeito が語源だそう。自分たちのルーツを大切にしながらも日本に根づいた新たな創造的なライフスタイルを追求していきたいという思いをこめて農園の名前にしたのだとか。中村さんの夢を応援したいですよね!
 
 
あなたも、一消費者として有機認証に参加しましょう!

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▲2015年9月18日の静岡県富士市における生きもの調査のフィールドワーク

このような自然と生産者とのふれあいが、交流と学習の場でもあるPGS(参加型認証システム)の核といえます。

一般社団法人生き物認証推進協会では、生産者と消費者が一緒に環境保全や生きものの多様性を実感できる「生きもの調査」を重視しており、PGS(参加型認証システム)普及のベースとして、生産者はもとより、一般消費者やディーラーを対象とした「生きもの調査」を指導できる人材「Bioアナリスト」養成講座を開催しています。将来、草の根レベルの有機農業の浸透に自分も加わりたいという人は、下記ををご覧ください。

一般社団法人フードトラストプロジェクトブログ
一般社団法人生きもの認証推進協会ホームページ

今回の研修会に関する更に詳しい内容については、今後、GONのビジネスサイトに掲載していきます。

すでにPGSについてはこちらでも紹介しています。

連絡先:
一般社団法人 生き物認証推進協会
東京都中央区八丁堀2-22-8 内外ビル7F
TEL:03-3523-0028 FAX: 03-3523-0861
E-mail:bioanalist@food-trust.jp

文中でご紹介した農園は野菜の宅配もやっています。お問い合わせは下記公式サイトから:
なごみ農園
こんぺいとう農園
 
 
 
 

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