時代が変わっても大切にされる価値の創造とは。哲学を持つプロダクトブランド「wa/ter」

廃材をなくすことを意識して生まれたプロダクトブランド「wa/ter(ウォーター)」。20207月、小倉寛之(おぐら ひろゆき)さんのインテリアデザイン事務所「株式会社 DRAWERS(ドロワーズ)」から生まれました。

再生ガラスなどでつくられたシンプルなプロダクトには、固定観念にうったえかけてくるような印象があります。

大阪にあるデザイン事務所「株式会社DRAWERS」

引き継がれることなく、短期間で行われる現代のスクラップ&ビルド。価値がなくなってしまったものにはお金をかけない。

始まりは、インテアデザイナーとして大切にされるべき価値を創造してこなかったのではないか。と、そんな問題意識からでした。

 ブランドの立ち上げで、一番大切にされたのは利益目的にならないことだったそう。多くの人に、捨てられるだけじゃない、それぞれ違った価値が残っていることを知ってもらいたい。そして商品を見つけてくれた人が、つくられる過程や理由を知った上で、素敵だと感じて手にしてほしい、そんな願いが込められています。

さらには国内だけでなく、数年後には海外にまで「wa/ter」を広げていきたいそう。そのためにも、より多くの作り手と交流し、探求し、ものづくりを通して未来を創造したいと活動が続けられています。


再生という新たな価値。かけがえのないデザイン。

職人が手作業で型に流し込んで製作

微妙な型に流し込む速さや量の違いによって、側面にできるシワの形状や、上面の窪みに個性が生まれるそう。それは自然や偶然、そして人によって完成する唯一無二のデザイン。かけがえのない、たったひとつだけのデザインとの出会い。使われている原料は、テレビのブラウン管や蛍光灯のガラス。不純物を取り除き、再度溶かして固めた淡い色合いの再生ガラスです。

GLASS-blue gray
size W85φxH100(mm)
5,500円(税込)
color ブルーグレー
※耐熱ガラスではありません

ブラウン管テレビのディスプレイのガラスから「型吹きガラス」という製法でつくられたグラス。日用品としての機能性を備えた、やや大きめのデザイン。再生とは、一過性のものではなく、脈々と受け継がれ、生活に寄り添うものでなくてはならない、と考えられています。

AME NO SHITA-light
size W110φxH85(mm) 形状に個体差があります
7,150円(税込)
 color ライトイエローグリーン

「葉っぱに溜まった一滴の雫のような形」から「AME NO SHITA」と名付けられた、蛍光灯の再生ガラスです。型にはめたり押しつけたりしない、自然のカタチをイメージ。カトラリーレストやジュエリープレート、お皿、オブジェなど汎用性も高いもの。

「AME NO SHITA」は、「加減により生まれる偶然の形状をプラスすることで、なんかいい飽きのこない長く愛用できる」アイテム。

RECYCLED WOOL BLANKET Herdwick brown
 23,100円(税込)
size:w1500 h900 (mm) 
recycled wool 70%、polyester 15%、
acrylic 10%、nylon 5%

リサイクルウールブランケットは、世界三大ウール産地「愛知県 尾州」の「毛七(けしち)」というウールの再生技術でつくられたもの。名前の由来はウール70%にその他30%。戦後、物がない時代に、輸入に頼っていた高価な羊毛を捨てずに使い切ることを目的とした技術です。全国から回収された衣類を色ごとに仕分けし、染色せずにそのままの色を活かしたもの。それは、大量の水や電力の削減につながりました。

手作業でタグやボタンを取り除き、手間を惜しまず、出来上がった素敵なブランケットです。とても丈夫なので、アウトドアやラグとしても使えるそう。

一度価値のなくなってしまったものに、デザインのチカラで新しい価値を与えたいという思いでスタートした「wa/ter」。デザインされているような、いないような。シンプルさは究極の洗練、そんな哲学も感じます。コロナ禍で、社会全体の豊かさや価値を見直すことになりました。サステナブルな背景を持ち、生活を豊かににしてくれるデザインは魅力的です。

 

wa/ter   https://water-sup.com/
インスタグラム https://www.instagram.com/water_products_design/
オンラインショップ https://collective-store.com/product-tag/wa-ter/

 企業情報(株式会社 DRAWERS

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執筆者:奥田 景子

ライター(エシカルファッション、フェアトレ-ドなど)。福岡県生まれ。文化服装学院スタイリスト科卒業後スタイリスト。以降雑誌を中心にしたスタイリスト。社会的なことに興味を持ち、大学院で環境マネジメントを学ぶ。理学修士を取得。2013年から福岡を拠点に移してライターとして活動中。

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