2011年6月号 食品工業誌特集
オーガニック食品の拡大と成長-BioFachに見るオーガニック食品の今
BioFachジャパン・オーガニックExpo事務局
エービーシーエンタープライズ(株)
1. BioFach に見るオーガニック食品の今
「BioFach (ビオファ)」はドイツ語でBio=オーガニックFach=専門を意味している。この名称の展示会が1990年に、商品テストの雑誌を発行するエコヴェルト社によってドイツのルードウィヒスハーフェン(ラインラント・プファルツ州)で初めて開催された。この社名には「エコの世界」という意味があるが、後に雑誌名の「エコテスト」となって今に続いている。社名でもわかるとおり、環境や人の健康を意識した商品を編集対象としている。
1990年の第1回目は、出展者は197社で、ドイツ以外の企業参加はわずかに2社。それが、1994年からドイツに本拠を置くIFOAM(国際有機農業運動連盟)の全面的な後援を受けて本格的な発展期に入り、出展者、入場者ともにすぐれて国際的な見本市に成長したのである。ニュルンベルクで開催されるようになったのは1998年で出展社数は1257社、ドイツ以外からの出展社が50%に迫る558社の規模になっていた。今年2月16日~19日の催しでは世界86ヵ国から2,544*の出展社が集い、ドイツ以外の出展社が全体の66%を占めた。日本からも14社の出展があり(食品部門の直接出展社は9社)過去最多の出展社数を記録した。
*ここには繊維やナチュラル製品が合まれており、食品はおよそ2,300社
2. ビオファ2011参加報告
今年のビオファ・ニュルンベルクのテーマは「飢餓、気候変動、親環境農業に対するグローバル・チャレンジ」。オープニングの基調講演も、最新の有機農業技術でいかに世界の食糧をまかなうかというテーマで、『オーガニック・マニフェスト』の著者であり、Rodale Inc.(アメリカ)のCEOであるマリア・ロデール女史によって行われた。世界の人口を単に増産によって賄うのではなく、環境や人の健康に配慮した生産方法と飽食することのない節度ある摂取(グリーン・コンザンプション=緑の消費)によって解決できる可能性を提案するものであった。
ニュルンベルクメッセ代表のクラウス・レッティヒによると、今回の催しの絶対的なハイライトは各国政府の存在感が明確になったこととのこと。会場でも数多くのナショナルパビリオンが設営された。主催国ドイツ以外の大規模なものではイタリア、フランス、スペイン、オーストリア、スカンジナビア各国等の有機農業国はもちろん、東欧や北南米、アジアからは中国、インド、タイが目立ち、後述するわれわれ日本とインドネシアが同程度のブースを構えた。世界86ヵ国からの参加があるので、有機食品の種類がいかにバラエテイに富むものであるかご想像いただけるだろう。
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