有機認証の価値と販売チャンネルの多様化(作吉 むつ美)

また、地元のJAが主催する生産者の産直店舗もなかなか盛況である。ローカルラジオ局では、その店舗の紹介CMがあるのだが「安心・安全、はじめのいーっぽ」とリズムをつけて紹介を始める。何を根拠に安心安全なのか、私自身は追求していないが、消費者の支持少なからずあるようだ。こちらにも生産者の名前が袋やポップに記載されている。きっと常連になれば、「この生産者のは美味しい」などと区分けできるようになるのだろう。
これは、この地域に限ったことではなく、“地元野菜”と称しているコーナーにはよくある傾向で、生産者の名前や写真がついているのだ。“地産地消”がある程度、浸透してきたということもあるだろうが、なぜ、この情報で十分なのか。一時代、いや二時代前ならいざ知らず、名前と顔で安心が確保されるというのであれば、認証はいらないなあ、と考えてしまう。

 

実はこのことは、加工食品の原産地表示を訴えるのと近い発想のように思えるのだ。原産地がわかったからといって、安全性の担保と考えるわけではないだろうが、その一歩になりうる、ということでの要求だろう。実際、相変わらず“中国産”アレルギーの人はいるし、そういう人はたとえ有機認証があったとしても中国がからむと敬遠してしまう。この傾向は、有機認証に携わる立場としては、それだけ有機認証の信頼性や価値が低いことの表れだと自覚せざるをえない。

 

さて、低迷気味な有機食品に比べ、オーガニック繊維製品や化粧品については、認証の動きはゆるやかに進んできた。しかし、ここ数年、その需要の高まりとともに認証にからむ動きも加速気味だ。
経済産業省では、オーガニックコットンの使用率の表示の規制をどうするか検討し、年内にもまとめる方向で動いているという。原料の綿は農産物。有機JAS認証とどのように関連づけられるかが気になるところだ。
また、その流通量からみれば少ないが、化粧品関連のオーガニック申請も徐々に広がってきている。パンフレットなどにみる商品紹介にも、オーガニックや認証についての説明を工夫しているものが増えてきた。

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