オーガニックコットンの現況と認証の問題点(日比 暉)

3. オーガニック・コットン製品と認証

●オーガニック・コットンは2段階の認証を受ける

オーガニック・コットンは農薬や化学肥料を厳しい基準に従って規制して有機栽培されたものだが、コンベンショナル・コットン(通常の綿)と比べ繊維の残留化学物質の量を比較測定しても差は出ない。したがって、有機栽培しているかどうかを見分けるためには、正しくオーガニックな農法で栽培されたかどうかを現地で確認する認証の検査を受ける必要がある。

 

また、製品化する製造段階についても、原料のオーガニック繊維が正しく使われたかどうか、またオーガニックにふさわしい環境負荷の少ない製造加工をしたかどうかを確認するため、認証を受ける必要がある。
つまり、オーガニック認証については、農業分野(畑から原綿まで)のオーガニック農業の認証と、テキスタイルの製造加工分野(紡績から製品まで)のテキスタイル認証の2段階の認証が必要となる。

 

●農業分野のオーガニック認証の方法

オーガニック栽培する畑と、そこで収穫される作物が認証の対象となる。
畑は2-3 年以上の移行期間(イン・コンバージョン)にオーガニックの基準に沿った栽培を続けた後、初めてオーガニックの畑として認証され、綿花や食用作物がオーガニックとして出荷できるようになる。

 

認証された畑で収穫された作物については、必要があれば取引ごとに認証書(TC=transaction certificate)が発行される。
これらの認証のもとになる基準はそれぞれの国や地域が定めた有機農産物の生産方法についての基準が使われる。
認証作業を担当する認証機関に対してはそれぞれの国が資格認定をし、認証実施の資格を与える。

 

●テキスタイル分野のオーガニック認証

オーガニック・コットンのテキスタイル認証については大きく二つの考え方がある。
一つは、有機栽培された原料繊維だから、それにふさわしい環境負荷の少ない製造加工をすべきであり、原料のオーガニック繊維の含有率も一定のパーセント以上を使用し、そのトレーサビリティ〈注(次頁)〉を確認するというものである。GOTS(オーガニック繊維品世界基準) がこの考え方をとっており、国際的には主流を成している。

〈注〉「トレーサビリティ」とは、最終製品のオーガニック・コットン含有率表示が間違いないことを、何らかの有効な方法で綿畑までさかのぼりトレースできることを意味している。

 

もう一つはオーガニックを一定量(例えば5% でも)使えば、製品の製造加工方法は従来の方法でも良いというもの。有機農家が有機栽培を続けるためには、できるだけ安定した大きな需要を作ることがまず大切という考えである。含有率や加工方法に制限が少ないので、製品化に幅ができ、商品展開がしやすくなる。テキスタイル・エクスチェンジがこの考え方をとっており、表示される含有率のパーセントが正しいかどうかのトレーサビリティの確認が中心となる。

 

●認証基準・認証機関について

有機農産物の生産方法についての基準は国定基準であるのに対し、テキスタイル分野のオーガニック認証の基となる基準はすべて民間の基準組織が策定している。

 

農作物の貿易上の観点から、CODEXという国際機関がオーガニック農産物などのガイドラインを定め、WTO(世界貿易機関)に加盟している各国は、それに整合させて国定の基準を定めたものであるが、これに対して、製造加工の工程における基準には国定のものはない。加工用化学薬剤の使用に細かい区分をするテキスタイル分野では小回りの利く民間組織が対応しやすいからであろう。

 

認証作業を担当する認証機関もISO などの規定に基づく国際的な資格認定機関による資格認定と基準策定機関の承認を受けねばならない。
日本では2010年に「オーガニック・コットンに係る表示ガイドライン」が中小企業基盤整備機構から発表され、製品にオーガニック・コットンの表示をする事業者はトレーサビリティを確保することが求められている。

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