私たちができること(作吉 むつ美)

しかし、その混沌とした状況が、逆にマーケットを活発にさせているようにみえた。イベントに参加していたイタリアの認証機関の方が「20年前のイタリアと同じようだ」と感想を述べていた。日本でも有機JAS認証が始まる前は、民間の有機認証が活発になり、自称有機、二者認証のものも混在し、似たような感じがあったように思う。制度やシステムが整うと、その雑多な勢いがそがれてしまうのかもしれない。細かい基準やなんかが問題じゃない、テーマはオーガニックだ!という声が聞こえてきたような会場だった。
聞いたところでは、韓国でのオーガニック品は、全食品流通量の0.2%しかないという。日本とほぼ同じ数字。ある認証機関の人の話では、ベビーや子供向けのオーガニック品はやはり注目されているという。特にオーガニックの「牛乳」の人気は、景気が落ちても変わらないそうだ。子供たちに与えるということで、親たちは踏ん張っているのだと説明をうけた。
韓国でのオーガニック畜産基準は農産に一歩遅れたものの、2001年には作られていた。そのためか、オーガニック畜産に取り組んでいる業者数も多く、現在34の畜産業者が認定されているという。しかし、韓国基準で認証をうけたオーガニック酪農場が、EU基準や米国基準では認可がおりなかったという。理由は家畜一頭あたりの放牧地の面積が足りないとのこと。日本でも同じ状況が考えられる。また、飼料が高くてなかなか採算にあわないなど、生産環境がよく似ている。
日本では有機畜産規格が施行されてから5年を迎え、今年は見直しの年である。牛乳や卵などの需要や供給がもっと高まるかと思っていたが、今のところ地味な展開だ。(表1参照)。認証機関のホームページで公開されている畜産認定事業者をひろってみたが、合計で10件に満たない。農産物や加工食品の様に認証が必須でないことも影響しているかもしれない。

 

アジアのオーガニックの成長

世界で有機の消費が多い地域は、ヨーロッパや北米、そして日本となっている。なかなか実感はわきにくいが、FiBLの調査では(2009年)、日本は第8番目(売上額ベース)だ。私の見聞きする範囲でのことだが、展示会の様子をみるとヨーロッパでは「認証機関が幅をきかせている」。一方、アメリカでは、OTA(Organic Trade Association)という巨大なオーガニックの組織が、業界を牽引しているようにみえる。
FiBLの調査では、中南米やアフリカでのオーガニック生産の成長が著しいようだが、アジアではどうなのか。もともと、オーガニック品は“輸出”を目的に展開してきていた国が多い。しかし、ここ数年、国内基準がそれぞれ策定され、徐々に自国の消費者向けにも生産販売されるようになってきている。
日本では、法制化により、混沌とした状態から、「有機」の定義が明確になった。それに伴い、これまでは曖昧な有機品を警戒していた業界でも、様々な取り組みが生まれてきた。規制により排除される部分を無視できないが、制度が整うことで、“有機”のプラットフォームがはっきりしたものになった。しかし、10年が経過した今、当初の期待とは裏腹に、ダイナミックな展開には至っていない。ではどうしたら?
残念ながら、私自身には答えはみえてこない。いつか流れがきたときに、しなやかにのって動いていくことしかできないだろう。でも、認証だけではつまらない。もっとオーガニックの良さをたくさんの人に知ってもらいたい。分かち合えたらいい。そんな思いを同じくする検査員仲間達と、新しい講座を立ち上げた。この誌面を借りて、いま、JOIAができるサービスを紹介したい。たくさんの人にJOIAを活用していただければ、小さな動きは作れるのではないかと思う。

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