オーガニックコスメ今後のトレンドと国産ブランドのつくり方(手島大輔)

日本でオーガニック化粧品の認証制度ができない理由

欧米には化粧品のオーガニック認証がありますが、それは消費者のためではなく基本的には農業団体や国による有機農業振興やメーカーの製品輸出を目的にしたものが多いことが実情です。しかしお墨付きを重んじる日本の消費者は、認証を得た製品は単に良いものということと信じてしまうギャップがあります。欧米の有機農業団体や、認証サービス企業に費用を払い認証を取得したオーガニックコスメメーカーは、「オーガニックコスメ認証を得た製品こそがオーガニックコスメ」と消費者にプロモートするため、認証を得ることが難しい国産品はその点の訴求に弱みがあります。
日本の化粧品メーカーは、戦後世界一といえる生産技術を背景に化学成分を中心にした化粧品の開発と大量生産を強みに大きな内需に対応し、さらに国際競争を行い国を富ませる外貨も一部得てきました。また、国土の狭い日本は農産品の輸出を国策とはしていません。日本に化粧品の有機認証がないのは、有機農業の振興や農産物を使った化粧品を輸出していく意義と国際競争力が日本にないためといえます。投資を行い化粧品のオーガニック認証制度を設置する意味がないのです。最近、一部認証取得をビジネスとする事業者の出現もありますが、収益事業化できていないのが現状といえます。

 

国産オーガニックコスメの先駆的取組み

そんな中、欧米企業のオーガニック認証や、海外からの輸入農産物原料に頼らず、国産原料を高い割合で使用する真の意味での国産オーガニックコスメも一部出現してきています。今までの海外製品にない日本の世界的に高度な生産技術と高い品質、今までの癒しや安全性のみを重視してきたオーガニック製品にない確かな効果を出すための研究開発と最新技術、日本人に使いやすいラインナップと買いやすい価格、舶来品にはない日本の衰退した地域農業や空洞化した製造業の再興、なくなってしまった地域の雇用創出など、自分たちの経済の再生につながるブランドなどが期待されています。世界中でグローバル化が進み日本の地域のものづくり基盤や仕事は失われてきました。いま新興国がかつての日本のように繊維、家電、鉄鋼、自動車などの分野で労賃の安さを武器に激しく追い上げています。日本の少子高齢化社会による稼ぎ手の減少と産業の空洞化は、現在アメリカやアジアへの自動車や半導体、鉄鋼の加工貿易で外貨を稼いでいる豊かな消費社会の日本を過去のものにしていきます。今は世界的な景気の悪化や東北での大災害を経て迷走するこの国に元気が必要な時です。欧米からの輸入品に押され気味だったオーガニックコスメも、円高や地震後の農産物への安全性危惧を乗り越えて、今こそ世界市場に打って出る国産ブランドを作り外貨を稼げるようになったら素晴らしいと思います。

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