Alnaturaの企業展開拡大の要点
・1984年、「ドクター・レーンの構想と販売による自然食品」という名称の企業創設の初めから、Alnaturaは農業生産と製品の品質についてかなり厳しい基準を設定した。そうすることによって消費者の信頼を勝ち得たことが最初の要点である。このことは、国の有機基準よりも厳しいデメターをパートナーとして選んだことにも表れている。デメターの認定は単なる製品認定にとどまらず人智主義に基づき、消費者のことを最大限配慮する姿勢が他の認定機関とは大きく違う点である。この考え方もAlnaturaは受け継いでいるといえる。
・自社製品のビジネスパートナーとして、チェーン店としては評判の良いドラッグストア系のtegutとdm(ロスマン)を選び商品開発をしたことは次の要点だ。これらのチェーン店はその特徴として店舗数が多いこと。消費者のすぐそばで、消費者、特に働く女性・母親の便宜に最大限こたえようとする(ドイツには珍しく遅くまで開店するとか)これらのチェーン店で、自社製品を販売できたことはブランドPR的にも大きな効果があったといえる。自社スーパーでは自社ブランドだけでなくAlneturaの基準をクリアした商品も販売するが、提携チェーン店の売り場では自社ブランド(1020品目)のみを販売する方針は一貫している。そうすることで提携チェーン店網をブランドPRの媒体として最大限活用しているといえる。この2つのチェーン店との関係は単に商品開発・卸売関係にとどまらず、企業としてのチェーン展開を身近に学べたことも経営者としては非常に大きなプラスポイントとなった。現在、提携チェーン店でAlnaturaを扱う売り場はおよそ3200店、そのうちドラッグストア系の売り場はドイツでは1265店、オーストリアでは1280店という。今年から試験販売を始めるスイス最大のスーパーマーケットチェーンMigros(店舗数550)との提携にもさらなる飛躍が期されている。このような販売網の拡大によりAlnaturaは値段の競争が優位にできる立場にたつ。大量に仕入れることで販売価格を抑えることができるからで、その恩恵は消費者に還元される。
・次の要点は商品バラエティの豊富さ。1980年代、オーガニック市場の成長の兆しが見え始めたとき、従来の自然・健康食品専門店のように一部のベジタリアンのためだけでないもの、普通の人が購入できるスーパー形式の店舗展開を目指し、それには製品バラエティが必要という観点から積極的に製品開発をしていった。これには社主のDr. レーンの前身が総合食品大企業ネスレで商品開発に携わっていたことがベースになっているといえるだろう。さらに、オーガニックのトータルライフスタイルへの動きをいち早くキャッチし、コットン製品や化粧品でも自社ブランドを立ち上げた。とくに、母親が神経質になるベビーフードには基準の厳しいデメターの認定の原料を使用することで母親の信頼に配慮している。【商品カテゴリーリスト下記参照】
・webサイトの活用。Alnaturaは早い段階からwebサイトを効果的に活用してきた。Alnaturaは、webサイトは商品情報の伝達やネット販売にとどまらず、企業情報の開示や消費者とのコミュニケーションツールとしての重要性を最初に認識した企業の一つといえる。そこでは、たとえ自社にマイナスと思える情報であっても正直に公開してすばやく対処する姿勢をアピールし、メディアや消費者の信頼を勝ち得ている。
たとえば、デメターとの商標に関する法廷闘争や中南米最大級のオーガニック貿易会社Daabonの問題、従業員との賃金交渉などが挙げられる【下記参照】。
ちなみに、AlnaturaのFacebookファンクラブ会員は18,000人、ツイッターのフォロワーは1,300人でオーガニック部門におけるWeb2.0のパイオニアと目されている。ニュースレターの配信も積極的に行っており、読者数も日々増加している。
《関連キーワード》