OMR 調査結果のポイント
1. 消費者調査より
「有機JASマークを確認して買う消費者は1割?」
有機/オーガニックという用語は認知されているが、正しい理解に基づく積極的な消費姿勢をもつ消費者はまだまだ少数派で、そうではない食品を「有機」食品と思い込んで消費している消費者が多い…。社会的にも有機食品に関する情報量が少なく、店頭のわずかな情報で誤認をしている消費者が少なくない。有機食品の消費拡大には「健康」「安全」「おいしい」ということだけでなく、社会性・環境性を広く、強くPRし、その価値をさらに高い販売価格として維持できる動きが不可欠であることを示している。
2. 小売業者調査より
「オーガニックは新しいマーケットの創造!」
有機農産物は一般農産物に比べて売上げが伸びており、特に「高級SM」で顕著。ほぼ5店に1店が一般農産物より売上げが伸びていると回答している。価格は、ほぼ40%の店舗が「20%くらい高い」としている。一方で10%近くの店舗が「ほとんど変わらない」としている。
3. 生産者調査より
「元気な有機農業者が農業の次世代を担う!」
有機農家は、学習意欲・知識量・経営的感覚などのリテラシーが高く、積極的な姿勢が見える。(有機栽培意向ありの)慣行農家は、有機農家と問題点・悩みの傾向が似通っており、参入の際にどのような問題があるかは正確に認識している。それだけ慣行栽培から有機栽培への移行は特栽からの移行より心理的なハードルは低いと考えられ、国や自治体などの奨励策などがあれば移行する農家は増加すると考えられる。
4. フードチェーン調査より
「課題は、生産者、メーカー、中間流通と小売の取組みの意識の落差」
なぜオーガニックを販売(生産)するかという質問では、環境(社会的認識)に対する意識は生産者のほうが高く、小売の段階で極端に少なくなる…。もっとも消費者に接する機会の多い小売の段階で、品揃えが少なく、取り扱い絶対量が少なく、情報提供も少なければ、消費者にオーガニックが普及するという循環が断ち切られてしまう。小売担当者の認識は「品揃えをしても、どうせ買う人は限られている、絶対量は売れないからロスが多くなる、オーガニックに関心もないし、教育もされていないから情報も顧客に提供できない」。
5. 加工食品メーカー調査より
「安全で環境にいいものを提供したい。」
有機で作る理由は「より安全な食品を消費者や販売先に提供したかった」が最も多く71%。「より美味しい食品を消費者に提供したかった」も50%近く、「環境問題に関心があった」は50%前後であった。販売先やその先の最終消費者に対して安全や美味しさを提供したいという意向が強くなっている…。流通への不満は、消費者よりも一般職のバイヤーが基本的な有機JASのことを何も知らない。一から説明が必要。
6. 自治体調査より
「環境直接支払いの導入と有機農業の普及啓発を!」
自治体担当者からの生産面での要望は、有機農業や環境保全型農業の発展を支援する「環境直接支払い」制度の導入である。環境を保全し、農村の景観を守る有機農業は公共サービスという側面もあり、その実践に大きな困難を伴う。そこで、環境直接支払いで支援すべきだという意見がみられた。消費面では、有機農産物の需要拡大を図るために有機農業やオーガニック食品に関する環境問題や健康への貢献度に関する啓蒙活動、広報活動を強化し、消費者による理解の増進を図ることへの強い要望がみられた。
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