「オーガニックライフスタイル EXPO 2024」で見つけた、身体と環境に配慮されたこだわりの食を紹介していきます。
2018年の調査によると、バナナ生産量の日本一は沖縄県。全国シェアは75.1%と国内では圧倒的です(食品データ館「バナナの産地・生産量ランキング」。
令和5年3月4日に設立された「おきなわオーガニック産地育成協議会」は、亜熱帯沖縄で有機農業の栽培技術体系の確立や普及に向けて活動している団体。その第一弾品目として、沖縄県産有機バナナの産地化に向け、勉強会の開催や栽培要綱を作成、調理用レシピの開発が行われています。
「おきなわオーガニック産地育成協議会」の取り組みは、農林水産省「みどりの食料システム戦略」の一環で、「オーガニック産地育成事業」に採択された国家プロジェクト。
さらにオーガニックバナナを沖縄県の特産物へ
少し柑橘を感じる美味しいバナナ
「おきなわオーガニック産地育成協議会/沖縄バナナ生産事業組合」のブース
すでに有機農業に取り組む生産者さんや、これから取り組みたい人たちを応援するために「有機農産物を産地化するためにはどうすればいいか?」、「亜熱帯の適地適作」、「栽培技術や販売、経営」などをテーマに、検討会や勉強会、展示会への出展や加工品開発などの活動が行われています。
再生産可能なモデルケースを体系的にまとめ、亜熱帯気候独自に発展させた持続可能な有機農業の確立を目指しているそう。
バナナの森
現在の構成員は主に生産者が主体の23名で、アイデアを出し合いながらお互いの課題解決に向けて切磋琢磨しているそう! 日本国内で消費されているバナナは約100万tと言われている中、国内有機栽培バナナは1%にも満たないのが現状。
バナナは災害などに強く、苗を残すことのできる品目だといいます。農業従事者の減少や高齢化が進む地の課題解決も期待されます。
食品ロスにつなぐ青バナナのレシピ開発
フライド青バナナ(画像提供:あすまるさんキッチン)
通常のバナナと青いバナナが出品されていました。追熟していない「青バナナ」の特徴は、水分の少ないジャガイモやサトイモのような味と食感。そして、クセがないので、さまざまな料理に活用できてバリエーションが豊か。常温で保存可能、追熟しても通常のバナナとして食べられるため食品ロスになりにくいなど。
「青バナナ」のレシピ開発を担当したのは「あすまるさんキッチン」です。
「あすまるさんキッチン」は、「もったいないをおいしいに変える!」をテーマにフードロス削減活動を行う3人の料理研究家チームが、規格外などで出荷されない農産物を買取り、日持ちする食品に加工して販売するほか、レシピ開発で農家支援も行っています。
青バナナは、黄色いバナナになる追熟前の状態で、硬く、渋みやえぐみが強く、とても生では食べられないものだそう。完熟すれば甘くおいしくなるバナナをあえて青い状態で食べるのは、台風リスクを回避するという目的があります。
収穫適期前に収穫したバナナを調理できれば、台風被害を最小限に抑えることができるのでは? と思ったことをきっかけに「あすまるさんキッチン」へレシピ開発を依頼。
追熟中に傷んでしまうバナナもあるため、青バナナとして活用することができれば、バナナの廃棄が削減され、生産者さんの収益アップにもつながります。
「あすまるさんキッチン」は、あらゆる調理法を試して、これはおいしい! 沖縄の新名物になる! と思える飲食店向けのレシピを提案したといいます。
※レシピはおきなわオーガニック産地育成協議会 Instagramに掲載中
「おきなわオーガニック産地育成協議会」は、日常のテーブルバナナとして、オーガニックを取り入れてもらえるように、日々勉強会を続けています。そんな楽しみながらも謙虚な姿勢に感銘を受けました。
おきなわオーガニック産地育成協議会 https://www.instagram.com/ocpac_of_okinawa/
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執筆者:奥田 景子 ライター(エシカルファッション、フェアトレ-ドなど)。福岡県生まれ。文化服装学院スタイリスト科卒業後スタイリスト。以降雑誌を中心にしたスタイリスト。社会的なことに興味を持ち、大学院で環境マネジメントを学ぶ。理学修士を取得。2013年から福岡を拠点に移してライターとして活動中。 |