佐賀県では、「鹿島のみかんはうまか!」との定評があります。鹿島市でみかん栽培が盛んな、有明海を見下ろす多良岳一帯は、海風が当たるおかげで、みかんがおいしいとされているのです。それも、有機で作られているのですから、そのおいしさを一度は味わってみたいと思っていたところ、今年2月の健康博でめぐりあいました。
健康博では、これから売り出す有機青みかんの加工品をメインに紹介されていました。青みかんといっても、濃緑色のみかんなのですが、その皮は栄養の宝庫だそう。果皮の内側にある白い部分にはフラボノイドの一種「ヘスペリジン」「タンゲレチン」「ナリルチン」「クエン酸」といった栄養成分が豊富に含まれているとか。早摘みしたグリーンの青みかんにはこれらの栄養成分がより多く含まれていることがわかり注目されているようです。
でも、皮は食べられないですよね…そこで、青みかんサプリや青みかんのドライフルーツを開発したのです。下図は、肝油ゼリーと青みかんを輪切りにして乾燥させたもの。
webショップ上では、青みかん加工品はまだ「試作中」となっていますが、お目見えする日も近そうです。
有機農業へのきっかけと農場の概要
佐藤農場の佐藤 睦(むつみ)さんは、昭和42年にレイチェル・カーソンの『沈黙の春』を読み、農薬が環境及び人体に及ぼす影響について関心を持ち始め、昭和43年、1 haでみかん栽培をスタート。見た目の美しいみかんを生産している熱心な農家ほど健康を害していることを知り、減農薬栽培に切り替えました、さらに62年には3 haで無農薬、無化学肥料栽培に取り組み、平成13年、有機JAS制度スタート時点で全柑橘圃場7.6 haが有機認定されたのです。
それまで佐賀県は全国有数のみかん産地のひとつでしたが、価格が安くなり経営が厳しくなって荒廃園が増えていきました。それら耕作放棄地等を借り受け、現在では70カ所、総圃場面積が30 haを越えているとか。しかも、全圃場で有機JAS認定を取得し、また、有機JAS認定の加工場も備えているそうです。
日本の有機認定柑橘類の生産量はおよそ1000トン、その1/3、300トンを従業員16人の佐藤農場が作っていることになります。
土が命、自然に優しい農業を実践
健康な土作りが基本だとおっしゃる佐藤さんは、草は刈らず、倒すだけの「草倒し農法」を提唱。倒された草が枯れて自然に戻り、肥料になるので、肥料はやらないか、やるとしても少しでいいそうです。
佐藤さんの農場では、除草剤、農薬、化学肥料は一切使いませんので、枯れた草をエサにして微生物がたくさん生きています。除草剤を使った畑の土はコンクリートのように固いのですが、佐藤さんのところの土は手で掘ることができるほど。
こんな自然の健康な土で、昔からの栽培法を使って作られた佐藤さんのみかんは、果汁をたっぷりと含み、甘いだけでなく程よい酸っぱさがあり、昔ながらの味がするとの評判で、日本中から注文があるそうです。
この画像は、外見の美しさより、生産者と消費者の安心、安全をモットーとする佐藤さんのみかんを象徴するB級品の「なんじゃこりゃみかん」。毎年、サイトで販売していますが、そのおいしさが好評で、今シーズンはすでに販売終了です。
もちろん、A級品もありますので、全部がこんな風ではありませんが、「私のみかんを食べた人は、『自然に自生したみかんの食味のよう』と評してくれて、今では、外観についてクレームがくる事はなくなりました」と佐藤さん。
近々、佐藤さんの販売サイト「むっちゃん農場」はリニューアルしてサイト名も新しく「鹿島みかん村」と変わるそうです。生のみかんだけでなく、ジュースやドライフルーツでも、みかん本来の味を楽しんでみませんか。
佐藤農場
企業情報
通販サイト『鹿島みかん村』http://mikan-satou.jp