もとは菜食が中心だった日本ですが、食肉消費量は1960年から50年で約10倍になっています(農畜産業振興機構/食肉の消費動向について)。 個性は、毎日の食事によって形づくられていくもの。最近では、環境教育の普及や健康志向などの背景があり、日本でもベジタリアンやヴィーガンなど菜食を実践する人が増えつつあります。
ベジミートなど代替肉の種類も増えて、大手ハンバーガーチェーンで見かけるようになりました。じつは代替肉は、最新の技術で細胞を培養してつくられているものもあり不自然に感じていました。
そんな時に、日本のヴィーガンフレンドリープロジェクトと山口県でこだわりの豆腐を製造・販売する「山口健康豆腐のなかみち屋」が共同開発した「TOFU MEAT」を発見。プロジェクトの代表を務める「村畑啓子(むらはた けいこ)」さんへお話をうかがいました。
マルシェでお客さまへ「TOFU MEAT」の説明をする村畑啓子さん
無添加で安心。さらに手軽で美味しい商品
「TOFU MEAT」の商品開発は、村畑さんが「山口健康豆腐のなかみち屋」さんから、豆腐を利用した新商品企画の相談を受けたことから始まりました。
「一般的に市販されている大豆ミートには匂いあり苦手な人もいます。さらに、調理には湯戻しが必要で、ハードルも少し高くなります。私自身は、豆腐からつくる豆腐ミートに下味をつけたものを冷凍して使っていましたが、もう少し楽にできるものはないかと思っていました。ちょうど、主催している九州ヴィーガンフェスに出店していただいていた『山口健康豆腐のなかみち屋』さんが、新商品を検討されていたので、以前からつくっていた豆腐ミートをつくってみませんか? と提案したんです」
「山口健康豆腐のなかみち屋」さんの豆腐づくりで使われる遠心分離機。
遠心分離生絞り製法は特許を取得しています
「山口健康豆腐のなかみち屋」の豆腐の原料は、国産大豆(サチユタカ)100%とにがりのみ。「TOFU MEAT」は、極めて良い豆乳が取れる「遠心分離生絞り」という製法でつくられています。
「過熱してつくる従来の製法よりも、大豆の成分を濃く含有した豆腐をつくり出すことに成功しています。『TOFU MEAT』は、そんなしっかりとした味わいのある豆腐を使って、酵母エキス・加工澱粉・アミノ酸を添加せず、アルコールフリーにこだわり、ヴィーガンやハラルに対応しています。すべての原材料にもこだわっています」
醤油に使われているのは山口県のヤマカ醤油さんの2年半熟成の一番搾り
ヴィーガンやハラル認証がついていても、添加物が入っている製品が意外に多いそう。「TOFU MEAT」には、安全性と美味しさ、手軽さに徹底的なこだわりがあります。筆者も購入してみましたが、噛み応えはお肉と似ていますが、大豆の味もしっかり感じます。
「『TOFU MEAT』は、従来の大豆ミートに比べ、匂いもなく柔らか。下味がついているタイプは、鶏そぼろのような味付けで、そのまま食べることができます。ナチュラルタイプは、簡単なスパイスなどで、和食、洋食どちらにも使えます。麻婆豆腐、タコス、ガパオライスなど、いろいろなお料理にアレンジできる汎用性の高い食材なんです」
TOFU MEAT 1kg: 4,860円(税込)
※黒糖なしのシュガーフリーもあり
TOFU MEATお試しサイズ 250g 1,404円(税込)
原料:木綿豆腐(国内産100%使用、遺伝子組み換え無し)、杉樽仕込醤油(無添加)、有機黒糖、
有機八丁味噌(無添加)北海道産昆布粉末、九州産椎茸粉末、菜種油(遺伝子組換なし・圧搾法)・シママース(沖縄の塩)
Natural TOFU MEAT(味なし) 1.2kg 4,860円(税込)
お試しサイズ 300g:1,404円(税込)
原料:木綿豆腐(国内産100%使用、遺伝子組み換え無し)、豆腐用凝固剤(天然にがり100%)、
菜種油(遺伝子組換なし・圧搾法)
食以外で、ヴィーガンの村畑さんが大切にしていることは何でしょうか。
「私がヴィーガンライフスタイルを送るのは、自分が心地よいから。健康や地球環境、動物に優しいライフスタイルを送っていると、周りもそういう人が集まってきて、いま優しくてステキな人たちに囲まれています。そんな心地良さを、周りの人達へも伝えることを大切にしています」
村畑さんがベジタリアンからヴィーガンを経て10年ほど。最初は、料理のレパートリーも少なく、外食できるお店も少なかったので不便だと思っていたそうですが、最近ではヴィーガン対応のレストランが増えていることを実感しているそう。
「でも、旅行に行くとホテルでは対応していないことが多いので、ホテルには頑張ってほしいですね!」
アイデア次第で豪華に
最後に、村畑さんが考える「豊かな食」についてうかがってみました。
「原材料やつくり方がシンプルなもの、昔からある常在菌を活かした発酵食品など、日本の菜食中心の食こそ豊かな食だと思います。旬の野菜が一番美味しいし、ヴィーガンで応用できる料理レシピが増えてきたので、シーンに合わせて豪華な料理もつくることができます」
私たちが選ぶのは、第一に地球を壊さない食べ物でなくてはならないと思います。気候変動やコロナ禍は、人が地球に与えたインパクトの反動かもしれません。「TOFU MEAT」は心身の健康だけでなく、日本が世界へ発信する生きとし生けるものに配慮された持続可能な食材のひとつだと感じました。
TOFU MEATショッピングサイト https://veganhappy.thebase.in/
執筆者:奥田 景子 ライター(エシカルファッション、フェアトレ-ドなど)。福岡県生まれ。文化服装学院スタイリスト科卒業後スタイリスト。以降雑誌を中心にしたスタイリスト。社会的なことに興味を持ち、大学院で環境マネジメントを学ぶ。理学修士を取得。2013年から福岡を拠点に移してライターとして活動中。 |