▲杉林
福井県小浜市にある老舗の箸メーカー「兵左衛門」。作られている箸には、防腐剤や防かび剤の使用がなく、身体に害のない天然木材と漆のみが使われた安心なものばかり。
日本の箸の文化を伝える様々な取り組みが行われていましたが、東日本大震災をきっかけに南三陸の木材を使ったプロジェクトが立ち上げられました。
▲作業の様子
漁港のイメージが強い南三陸は、じつは全面積の70%が森林の「森の町」だとか。震災で多くのものを失った南三陸を活気づけるために、地元の木材を使用した箸づくりを行っていこうというものです。
▲桜の森林
復興市や内職センターなどをサポートし、地元の人々と協力して作りあげられた箸。ミネラル分豊富な海風によって、ゆっくり育った桜の箸にスプーン、杉の割箸が作られました。いずれも、豊かな自然と暮らしを取り戻すために企画開発された商品です。
▲割箸 南三陸杉 5膳セット:864円(税込)
「桜材は、固い木なので箸やスプーンなどカトラリーに適しています。美しい木肌の色を生かしナチュラルに仕上げました。桜は日本人の心に深く根ざした花であり、南三陸の桜を使うことで、被災地と利用された方がつながることができれば、という思いが込められています。」
▲カレースプーン 南三陸桜:2,160円(税込)
▲箸(中)南三陸桜:2,700円(税込)
▲箸置き 南三陸桜:2,700円(税込)
もともと日本には、山の資源を有効に利用していこうという「もったいない精神」がありました。割箸の製作には、人工林の手入れの際にでる間伐材や、建築資材の製材時にでる端材などが使われていたのです。
林業に関わる人工林は、手入れされ持続可能な循環ができていました。逆に、日本の割箸の90%を生産している中国では、需要に対応するため、大規模な森林伐採など環境問題に影響が出ているそう。
兵左衛門では、野球で折れたバットから作られた箸や、箸による子供たちの知育教育が行われています。箸を使った社会貢献が、盛んに行われているのです。「もったいない」という気持ちと「助け合い」の思いは、日本の豊かな自然とつながっているようです。
兵左衛門 http://www.hyozaemon.co.jp/
執筆者:奥田 景子 ライター(エシカルファッション、フェアトレ-ドなど)。福岡県生まれ。文化服装学院スタイリスト科卒業後スタイリスト。以降雑誌を中心にしたスタイリスト。社会的なことに興味を持ち、大学院で環境マネジメントを学ぶ。理学修士を取得。2013年から福岡を拠点に移してライターとして活動中。 |