オーガニック・自然化粧品の現状と展望 (手島大輔)

5.日本における新しい流れ

日本においては、百貨店やバラエティショップが化粧品売り場の競争力を得るために、国内未発売の新しい海外ブランドを導入しようという動きがある。東京銀座には東急ハンズの入るマロニエゲート、改装するプランタン、丸井などの新しい小売店舗が目白押しであるが、それぞれが今までにない化粧品として、新しいオーガニック・自然化粧品の品揃えを図っている。

また、国内の企業ではアパレル等の異業種大手がオーガニック・自然化粧品事業への参入が見られる。ファーストリテイリングはユニクロにおいて、ホテルズホームズというオーガニックではないが天然精油を用いたボディケアラインを発売している。さらにユナイテッドアローズは自社通販サイトのリクリスにおいて、エコサートのオーガニック認定まで取得する品質でありながら洗練性も高いという強いコンセプトを持つリクリスルーチェというボディケアラインを発売するとしており、非常に注目される。

 

6.日本市場における自然化粧品の今後の展望

今後の日本市場におけるオーガニック・自然化粧品市場であるが、消費者への健康や安全性に対する欲求は低下することはなく、自然素材をもとにした化粧品の市場は伸び続けると想定される。

一方で、オーガニック・自然化粧品を扱う企業としては、今までのようにニッチマーケットでの勝負というわけにはいかない。ブームとなった日本市場においてはもはや数多のブランドが市場にあり、今後もあるブランドの成功を追いかける新しいブランドが限りなく増え続ける。この激しい競争の中で勝ち残っていくためにはしっかりとした戦略の立案と実行が成功のために不可欠なこととなる。

ターゲット、ニーズ、独自能力を軸とした商品・ブランドコンセプトの明確化、伝えるためのコミュニケーション戦略、そして消費者に届けるために最適なチャネル戦略と、付加価値を生み続けるブランドマネジメント等々。これらを社内外のパートナーと組んでじっくりと考え、それぞれの打ち手をオーケストラの指揮のようにタイミングよく繰り出していける企業・ブランドのみが大勢の中から抜け出し、輝きを放つことができる。そして市場が拡大している分、その成功も大きなものになるであろう。

 
出典:BioFach Japan 2011 公式ガイドブック
執筆者:手島 大輔

PROFILE:
(株)トライフ 代表取締役 障がい者支援団体セルザチャレンジ代表 中小企業診断士
トーマツコンサルティング(株)等の勤務を経て、2005年にベンチャー企業にてオーガニックコスメブランド「アグロナチュラ」の立上げを行う。ゼロベースから発売後9ヶ月に市場価格で約10億円の売上の日本を代表するオーガニックブランドとする。2006年独立。複数のブランドプロデュース、コンサルティング、OEM生産受託、世界中のオーガニック植物原料の輸入販売事業を行う。2009年障がい者自立支援団体「セルザチャレンジ」の立上げを行い福祉とビジネスの融合に向けた社会起業活動も開始。

(株)トライフ ホームページ URL:https://sites.google.com/site/trifeinc/

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