化粧品にも食品と同じぐらいの安全基準を(水上 洋子)

自然化粧品の難問は、防腐と乳化方法

化粧品の基準作りにあたって、最初にいかにして化粧品が作られるのかを把握しておかねばないだろう。
化粧品を作るとき、その目的別におおよそを分類すると、次のようになる。

  1. 活性剤(洗浄成分及びクリーム類の乳化)
  2. 色素(メイク用品などに色をつける)
  3. 香料(化粧品の香りを整える)
  4. 溶剤(植物エキスを抽出するさいの液体)
  5. 油剤(クリームや乳液などのベースとなるオイル成分)
  6. 整肌成分(肌を整えるため防腐剤〈化粧品の保存期間を高める〉界面の成分)

戦後、化粧品は、石油精製の過程から出てくる合成成分が主体となってしまった。その結果、1.から6.の化粧品に必要な成分は、合成防腐剤、合成界面活性剤、合成色素(タール系色素)、合成香料、合成溶剤、合成油剤、合成の整肌成分というように、ことごとく石油原料の合成成分になってしまった。

こうした化粧品は、使ううちに、しみやくすみ、肌荒れなどのさまざまなトラブルをおこすことが言われるようになり、しだいに昔から使われてきた自然素材の化粧品が見直されるようになってきている。

多くの自然化粧品メーカーは、1.から6.の化粧品作りに要する成分は、安全性が高いとわかっている自然素材を使おうと努めてきた。2.の色素は、鉱石や植物の色素を使い、3.の香料はエッセンシャルオイル、4.の溶剤は水かアルコール、5.の油剤は、石油ではなく植物オイル、6.は、昔から使われてきた整肌作用のある植物を配合するというように。

しかし自然化粧品にとって難問は、㈰の防腐と㈪の界面活性剤をどうするかということだ。石油原料の合成成分を使えば、防腐も乳化も簡単なので、いくつかの植物エキスを配合した上で、合成防腐剤と合成界面活性剤を使って仕上げる自然化粧品も少なくない。
ちなみに界面活性剤とは、本来は混ざらない水と油を混合する機能がある成分だ。これはシャンプーや洗顔フォームの洗浄成分になったり、あるいはクリームや乳液をなめらかに混ぜ合わせて乳化するための成分である。

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