日本で初めての有機農業からフードチェーンに至る総合的な実態調査の報告書です。
特定非営利活動法人「アイフォーム・ジャパン(本部:東京)」は今回、会員外の企業・団体にも参加を呼びかけて「オーガニック・マーケット・リサーチ(OMR)プロジェクト」を発足。2009年から1年以上かけて有機農業に関する初めての総合的な実態調査「オーガニック・マーケット調査」を実施しました。その報告書がこの7月に完成・発行されました。この報告書は、生産者から消費者までのフードチェーン全体を対象としたオーガニック・マーケットに関する初めての調査報告書となります。
調査の目的
今年は、2000年に有機認証制度の導入を決めた「有機JAS法」が制定されて10年、また2006年末に国が初めて有機農業を財政的に支援する法律として施行された「有機農業推進法」の制定から4年になります。その間も数多くの食品事故や食品偽装が発生し、消費者の食の安心、安全に対する関心は高まる一方です。しかし、その割には有機認証を受けた生産物の割合は、未だに全体の0.18%(2008年)と残念ながらほとんど伸びているとはいえません。また、その市場規模に関しては行政サイドも正確には把握していません。
一方、有機農業に関する世界最大の国際NGOであるIFOAM(アイフォーム:国際有機農業運動連盟)が毎年行っている調査によれば、2008年のヨーロッパ(EU)で全農地に占める有機農業の割合は平均で約4.3%を占め、その市場規模は約2兆6千億円(1ドル100円換算)に達しています。アメリカは約2兆3千億円です。欧米で全体の約9割を占める世界のオーガニック・マーケットは、金融不況の影響を受けた2008年を除いて高い成長率が続き、すでに5兆円を超えたと推算されています。
今回の調査目的は、なかなか発展しない日本における有機農業とオーガニック市場を拡大し活性化することです。そのためには、これまで全様が把握されたことのないオーガニック市場の実態をできるだけ広く詳しく把握することが必要だと考えました。そして、フードチェーンの流れに沿って、生産者、食品加工メーカー、卸売業者、小売業者、消費者のそれぞれのオーガニックに関する意向や取組みなどを直接のアンケートや電話インタビューなどを通じて、できるだけ客観的に把握し、かつそれぞれの課題や拡大を阻害する要因などを明らかにすることを目指しました。
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