(画像提供:一般社団法人 日本オーガニックコスメ協会)
美容大国の韓国。ソウルでは学校給食を無償化・オーガニックにする、というニュースが届いたり、食に関してオーガニック先進国になりつつあるという印象です。韓国コスメ業界でもオーガニックは広まっているのでしょうか。
2019年5月9日、韓国ソウルの展示場COEX HALLで「2019 コスモビューティソウル」が開催されました。そのイベントに連携する「2019国際・ナチュラル&オーガニックコスメトレンドセミナー」の依頼を受け、「一般社団法人 日本オーガニックコスメ協会」の代表を務める水上洋子(みなかみ ようこ)さんが登壇されました。
日本オーガニックコスメ協会 代表 水上洋子氏
講演のタイトルは「日本のオーガニックコスメ事情と日本のコスメ認証」。日本オーガニックコスメ協会では、「オーガニック原料100%、安全性が確認されている成分100%のみが使われているもの」という基準を満たすオーガニックコスメに対して、「JOCA オーガニックコスメ推奨品マーク」と認定しています。
消費者の立場にたってつくられた「JOCA オーガニックコスメ推奨品マーク」
日本オーガニックコスメ協会は、認証団体の国際会議でも積極的な取材を行っています。さっそく、水上さんへセミナーの様子や韓国のオーガニックコスメ事情など、話をうかがってみました。
「今回の2019国際・ナチュラル&オーガニックコスメトレンドセミナー関係者の女性からは、『韓国の人は、もともと自然な食べ物は薬の効果もあると考えているので、やはり化粧品も自然なものが一番いいと感じている』、『現代の化粧品には、合成成分が使われていることは知りつつも、今のところ、仕方がないと妥協して選び使っている』などの意見が聞かれました」
これらの意見は、オーガニックコスメに興味を持つ人たちのものなので、一般の女性とは少し違うかもしれないという印象も受けたそう。
講演で日本語の通訳をつとめたソンヨンさん。
単行本「オーガニックコスメ」を手に持ち、天然成分のみのオーガニックコスメに興味津々です
オーガニックコスメの認証について、韓国でも良く知られているのは、2010年に制定された「COSMOS(コスモス)」認証です。
「COSMOS認証では、防腐剤や界面活性剤など、いくつかに限定されていますが、石油原料由来の合成成分の使用も認められています。日本オーガニックコスメ協会は、日本の製造技術の現状を踏まえて、天然成分100%をベースとする、より厳しいJOCA推奨品基準をつくったことを講演で話しました。
講演の交流会では、JOCA推奨品マークの基準は、COSMOS基準以上に厳しい基準であることに大きな関心が寄せられました。また日本では天然成分だけで作られたオーガニックコスメがあることを知って、日本のオーガニックコスメで使われている、『天然の防腐剤』や『天然の界面活性剤』について、質問する人がかなりいました」
セミナー会場の様子。質疑応答では参加者からたくさんの質問が寄せられました
講演後の交流会で、水上さんから「これから天然の防腐剤は伝統的な植物療法が残されているアジアでこそ開発が進むのではないか」という問いかけに対して、深く頷く人が多くいたそう。
「会場には、ナチュラルコスメメーカーさんもかなりいたようです。講演後に、韓国のコスメでもJOCA推奨品マークを取得することができるのかと尋ねられました。基準に沿うものであれば可能です、と返答しました」
韓国独自のオーガニックコスメ基準づくりを目指している「CH HARMONY」の代表のラケ氏
「韓国では、まだ独自のオーガニックコスメ基準はなく、オーガニックコスメ関係者は、COSMOS基準を勉強中と言っていいでしょう。
今後、日本オーガニックコスメ協会は、より厳しい基準をアジアから発信していこうと、独自の韓国基準を目指す団体『CH Harmony』と継続的に交流していくことになっています」
韓国で健康や自然環境に配慮する意識の高まりがあり、オーガニックコスメの重要性が認識されてきたようです。認証団体からのアプローチも追い風になります。伝統的な韓医学が生かされたオーガニックコスメが生まれる日も近いかもしれません。
執筆者:奥田 景子 ライター(エシカルファッション、フェアトレ-ドなど)。福岡県生まれ。文化服装学院スタイリスト科卒業後スタイリスト。以降雑誌を中心にしたスタイリスト。社会的なことに興味を持ち、大学院で環境マネジメントを学ぶ。理学修士を取得。2013年から福岡を拠点に移してライターとして活動中。 |