オフィスや飲食店、公共施設で広がっている建物の木造化や内装の木質化。その空間にいるだけで、深呼吸したくなります。
国産材の利用は、とくに「炭素の貯蔵や資材製造段階での二酸化炭素の排出削減を通じた脱炭素社会」のためにも重要だと言われています。
さらに木材を取り入れることで得られる効果は、リラックスなど心理面、免疫力アップなどの身体面、消臭や抗菌などの衛生面、子供の集中力を高める、オフィスの生産性アップに加え、地域経済や地球環境保全などの社会貢献まで、広く報告されています(林野庁ホームページ「内装木質化した事例とその効果」)
品質と性能、安全性を保障する木材のJAS
一般流通材で木造大空間を実現した大教室
食品等農産物に比べると見かける機会は少ないのですが、JAS(日本農林規格)マークは木材にもつけられています。
国産の木材(国産材)の利用を促進する「一般社団法人 全国木材組合連合会」により、国産材の中でも品質・性能の確かなJAS構造材について知ることができるパンフレットが作成されました。
※コチラからダウンロード可能です 「Love Kinohei ラブキノヘイ 」http://love.kinohei.jp/jas-book/
パンフレットは、JAS構造材の普及のため、木材の流通や建築設計の業界だけでなく、種類や特徴などを説明して、一般(施主等)の方にも理解しやすい内容となっています。
パンフレット
品質や性能など、国が定めた規格に適合したものにつけられる木材のJAS。
チェックされるのは、まず強度の確実性。強度が明確に表示されています。法令で定める基準強度とも一致しているかどうか。また、構造計算にもきちんと対応することができること。次に、寸法の確実性。曲がりにくさや壊れにくさまで定められ、精度の高い建築物にも使用できること。
そして、耐久性の向上。保存処理後の木材の防腐、防蟻、長期間使用できること。最後に、低ホルムアルデヒド放射量の表示。接着剤を使用したものには、F☆☆☆☆などの表示がありシックハウス対策として安心して使うことができる、と以上の4点です。
JASマークのついた木材
食品等農産物と同じように、JAS認定工場で、厳しい品質管理のもと製造されています。
木材も自然素材なので、品質にばらつきがあります。そこで、骨格を支える建築物に、日本農林規格(JAS規格)に準拠したJAS構造材を使うことで、一定の品質や性能が担保。JAS構造材は基準強度が樹種や等級ごとに定められているので、許容応力度計算をする上で大きなメリットがあり、オフィスや店舗、体育館や幼稚園などの構造材としてより適しているそう。
「独立行政法人 農林水産消費安全技術センター(FAMIC)」の何重にも行われる品質確認によって、JAS材の品質が確保されます。
地域産の針葉樹(ヒノキ、スギ)を使った家具
最近では食育と並び、森とつながる幼児教育「木育」も注目の的。森林面積が60%以上の日本では、森を育て木の家を建ててきました。さらに毎年起こる大雨の被害を防ぐためにも、木は大切な地域の資源。私たちの暮らしになくてはならない信頼できるJAS構造材を、素敵に上手に取り入れていきたいと思います。
一般社団法人 全国木材組合連合会 http://www.zenmoku.jp/
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執筆者:奥田 景子 ライター(エシカルファッション、フェアトレ-ドなど)。福岡県生まれ。文化服装学院スタイリスト科卒業後スタイリスト。以降雑誌を中心にしたスタイリスト。社会的なことに興味を持ち、大学院で環境マネジメントを学ぶ。理学修士を取得。2013年から福岡を拠点に移してライターとして活動中。 |