食べられるストローが登場。循環する未来の社会を子供たちへ届けるため開発された「米ストロー」

産官学農連携でSDGsの理念に則った取り組みが増えています。東京オリンピックも開催予定であり、日本はあらゆる環境対策を進めていく必要性も。そこで、2021年はオーガニックにとどまらず気候変動から海洋汚染まで、私たちが選んでいきたいモノやコトをご紹介していきたいと思います。

カフェや喫茶店、家庭で使われているプラスティックのストロー。スターバックスやファミレスでプラスティックストローの廃止が進んでいます。生分解性や有機小麦まであらゆるストローが販売されていますが、中でもプラスティックストローと同じ機能性を持つのが、米70%にタピオカ粉30%の配合で開発された「米ストロー」。

国内検査もすべて済み、竹炭など天然の着色料で色づけされている安全なものです。

福岡を拠点に「米ストロー」の商品開発・販売をおこなっている「株式会社UPay」の取締役「上官家富(じょうかん かふ)」さんへお話をうかがいました。

株式会社UPayの上官家富氏
中国生まれ。2010年福岡へ留学生として来日。1年半日本語学校に通い日本の大学へ入学。2016年大学卒業後は、旅行会社勤務。2018年自立して株式会社UPayの一員に。

 

試行錯誤を重ねて植物原料のみにこだわったストロー

親しみやすいお米のロゴ
米のマークのパッケージを福岡のブランドとして発信

上官さんは中国生まれです。10年前から中国で注目されてきた都市建設のコンセプトはエコシティ。世界的な気候変動、生態系の変化といった環境問題が国際的な関心事項となる中、中国ではこれまでの経済成長一辺倒から経済成長と省エネ・環境保護の両立を目指した「持続的な成長」の実現が強調されていました。(参考:中国のエコシティ構想の現状と日本企業のビジネスチャンス

上官さんも中国の代表的なエコシティ「海南省」の事例などを基にして、第二の故郷だという「福岡」に環境面で貢献したいと思っていたそう。

「竹林の有効利用で、一時的に竹ストローを販売していたこともあります。でもストローとしては今一つだったので、紙ストローを生産したのですが、飲むときに口の中でくっつきやすく、長時間水につけていて子どもが飲み込んでしまいそうになったことがありました。それで販売中止にして、新たな原料を探したんです」

米ストローが完成する2年前には、サトウキビと小麦に20%生分解性のプラスティック商品を開発したそう。

「それも完全な植物性と言えないのが納得できなくて、その後にお米を思いつきました。アジアでは毎日食べられているので、無駄がなくて良いと思ったからです。子供にも喜んでもらえるように、いろいろな色も付けました」

カラフルで楽しくなるストロー

「折れたり曲がったりせず、まっすぐにコントロールしたり、色付けでは色が水につけて分離しないようにしたり。耐久性を高めながら、ストローをちょうどいいサイズと硬さにするのも大変で。技術者が忍耐強く調整を重ねながらできたのが『米ストロー』です」

こうして3年を費やし、完全な植物性の食べられるストローが完成しました。

使い終わったストローは、パスタのように食べることもできます。家畜の餌や肥料になり、自然界で分解されるので、川に流しても微生物の餌になりゴミにならないもの。燃やす手間もないため、企業ではコスト削減につながります。

「お米が主原料なので燃やすとお米が焦げた良い香りがします。自然界で循環するようにと考えて試行錯誤を重ねてきました。自然からできたものを”自然に還す”が、コンセプトです。今後は有機農家さんとも連携して、余ったお米や商品にならなかったお米を回収して国産の工場で国産の製品をつくっていきたいと思っています」

ペンネのように美味しく料理できる

「米ストロー」を日本で製造する工場を福岡につくるために、クラウドファンディングも始まっています。(https://www.makuake.com/project/upay_kome/?from=keywordsearch&keyword=%E7%B1%B3%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%BC&disp_order=1

「目指しているのは、身近なストローから脱プラスティックへ。今は米ストローだけでなく、マドラーやコンビニのスプーンなども米製品に変えようとしています。弊社1社だけでは難しいので、市や国とも協同できたらと思っています。日本は益々美しくきれいになって、世界へ環境先進国だとアピールできるのではと思っています」

18ヶ月保存可能なので保存食にも

海南省では、都会から脱プラスティックの取り組みが始まっているそう。

 「日本全国の人に呼び掛けたいんです。脱炭素社会はプラスティックが課題です。オリンピックが無事に開催されたら米ストローを使って欲しい。日本はエコの国と全世界へ発信できます。今こそやらないと、われわれが解決しなければならない問題を、未来を生きる子ども達に投げてはいけない。私たちには、その責任があると思っています」

中国から韓国、そして日本へと伝わる脱プラの取り組み。「残りは国の方針。脱プラスティックへの決意です!」と流暢な日本語で語る上官さんの、強い思いが伝わってきました。

 ※価格は会社まで問い合わせください
株式会社UPay https://www.upay.co.jp/

 企業情報

 

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奥田 景子

執筆者:奥田 景子

ライター(エシカルファッション、フェアトレ-ドなど)。福岡県生まれ。文化服装学院スタイリスト科卒業後スタイリスト。以降雑誌を中心にしたスタイリスト。社会的なことに興味を持ち、大学院で環境マネジメントを学ぶ。理学修士を取得。2013年から福岡を拠点に移してライターとして活動中。

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